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創業43年のメガネのアイゼン、27日で閉店

15年来の常連客と思い出話に花を咲かせる斉藤社長(右)

 創業43年のメガネ店「メガネのアイゼン」(帯広市大通南9、斉藤捷治郎社長)が27日の営業を最後に閉店した。閉店を惜しみ同日、店を訪れるなじみの常連客らの姿が目立った。斉藤社長(73)は「これまで支えてくださったお客には感謝の一言しかない」と話している。

 斉藤社長は1942年北見市生まれ。高校卒業後、網走市やオホーツク管内遠軽町のメガネ店で働いた。同管内斜里町でメガネ店を営む兄の故紘一郎さんのもとで約2年半修行を積んだ後の1972年6月、北見市より人口も多く「将来性がある」と直感した帯広市で店を構えた。

 最初は苦労の連続だった。チラシを新聞に折り込むが集客につながらない。役所や企業の支店にも出向くが相手にされない。だが何度も足を運ぶうち、熱心さを買われて「お前の店に行ってやろうか」と声が掛かるようになった。視力表やメガネを車に積んで出張販売なども仕掛け、徐々に顧客を築いていった。

 斉藤社長は「商売でも何でも信用が第一。ただメガネを売ればいいだけではない」とし、「お客の心の悩みを取り除くことが大切」と、目の構造や視力が低下する仕組みなどについて、図形を用いながら、お客に丁寧に説明してきた。

 2001年から店に通い続けた杉本辰雄さん(63)は斉藤社長について「とにかく誠実な人柄。メガネ以外の話題も豊富で客を楽しませてくれた。人生のイロハについて辰雄さんから学ぶことは多かった」と振り返り、「一緒に連れてきた孫が途中で帰りたくなるほどだった」と笑う。

 後継者不足や自身の持病を理由に店は43年の歴史に幕を閉じる。店舗は約1カ月間かけて整理後、売却する予定。斉藤さんは「メガネ屋は私の人生そのものだった。今後はゆっくりと余生を楽しみたい」と感慨深く話した。(安倍諒) 

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