台湾商社、帯広に法人設立へ 農産物輸出の窓口
台湾の貿易会社ジャン・フルーツ社が、帯広市内に現地法人の設立を検討している。同社は十勝管内8JAで生産する「十勝川西長いも」の輸出事業に関わっており、帯広の現地法人はナガイモの他、農畜産物輸出の窓口とする。時期や規模は未定。
16日からジャン・イーチャン会長、米国法人のマイケル・ジャン社長ら同社幹部4人が現地調査のために十勝を訪れている。17日はJA帯広かわにしのナガイモ洗浄選別施設や春掘りナガイモの収穫、音更町のよつ葉乳業十勝主管工場を視察した。
ジャン会長は「十勝はとても魅力のある地域。ナガイモ以外にも何が取り扱えるか探したい。(現地法人は)実現可能かどうかや、規模、人数はどれだけ扱える農産物があるかによって決めていきたい」と話した。その上で「日本国内での豊作時は値崩れなどの心配もあり、輸出で価格維持の手伝いもできる。50年以上農産物の販売に関わってきた経験で貢献したい」と述べた。
16日には帯広市内の北海道ホテルで行政、経済、農業界のトップと会談し、法人設立に向けて協力が得られることを確認した。会談には十勝地区農協組合長会の有塚利宣会長(JA帯広かわにし組合長)、米沢則寿帯広市長、十勝総合振興局の浜崎隆文局長、帯広商工会議所の高橋勝担会頭、帯広信用金庫の増田正二理事長が出席した。
有塚会長は「外資の現地法人ができるのは十勝初めての試み。酪農・畜産も含め海外に向けて広い窓口が開かれる。生産現場にとっても励みになる」と話している。
ジャン・フルーツ社は台湾をはじめアジア各国や北米のスーパー、飲食店に販売ルートを持つ。十勝川西長いもは2012年産の輸出額が台湾や北米を中心に9億円を超えるなど、海外でも人気を集めている。(眞尾敦)