出力抑制に不安の声も バイオマス事業報告セミナー
十勝のバイオマス利用促進に向けた方策を考える「環境フロンティアとかち地域バイオマス資源価値見える化事業報告セミナー」が3日、帯広市内のとかちプラザで開かれた。バイオマス利活用の推進を目指す管内関係者から、国の十勝バイオマス産業都市構想認定による利活用拡大を期待する声が出た一方、北電による大規模バイオマス発電の出力抑制要請に不安の声も上がった。
セミナーは道の同事業を委託した北海道バイオマスリサーチ(帯広市、菊池貞雄社長)の主催。企業経営者や金融機関など約120人が参加した。東大の森田茂紀教授による講演会と、パネルディスカッションが行われた。
バイオマス利活用に取り組む企業や農業者が参加したパネルディスカッションでは、地域内でのバイオマス産業づくり、消費者や利用者とのネットワーク構築について事例を紹介した。
利活用拡大へ向けた前向きな発言があった一方、北電のバイオマス発電の受け入れが太陽光発電などよりも優先性が低く、北電が500キロワット以上の設備に出力抑制を要請したことを課題として挙げるパネラーも。
土谷特殊農機具製作所の土谷雅明専務は「酪農家の多い農村部の配電網は細く、発電者が配電網に設備投資しないと消費地の都市に送れない。普及の妨げになる」と語った。
基調講演で十勝バイオマス産業都市構想を説明した帯広市産業連携室の中尾啓伸室長も「構想は産業振興が目的。出力抑制によって、ビジネスが成り立たなくなるのでは」と懸念を示した。(深津慶太)