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牛白血病ウイルスから乳牛を守る!

道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ

1.試験のねらい
 道内の酪農場における牛白血病ウイルス伝播のリスク要因を明らかにし、農場内のウイルス陽性牛を増加させないウイルス伝播防止対策を提示する。

2.試験の方法
1)牛白血病が発生した酪農場におけるウイルス感染状況とウイルス伝播リスク要因を明らかにする。
2)牛同士の接触が容易な群飼モデルを用い、ウイルス伝播のリスクを明らかにする。
3)搾乳機器を介したウイルス伝播リスクを明らかにする。
4)牛白血病ウイルス陽性農場におけるウイルス伝播防止対策を提示する。

3.成果の概要
1 )A、B および C 農場ではフリーストール牛舎でウイルス陽性牛は分離飼育されておらず、陽性牛との群飼育がリスク要因と考えられる(表1)。ハイリスクと診断された牛は血中ウイルス量が高く感染源としてリスクが高いことが示される。A農場では、ハイリスク牛の優先的淘汰により、ウイルス陽転率が24.3%から7.5%に有意に減少する(図1)。C農場では、夏季のウイルス陽転率が冬季よりも高く、吸血昆虫がリスク要因と考えられる。牛舎内のサシバエ対策として防虫ネットを設置すると、夏季のウイルス陽転率が減少する(図2)。ウイルス陽性牛の常乳は初乳よりもウイルス検出率およびウイルス量が低く、感染源となるリスクが初乳よりも低いことが示唆される。
2 )冬季には陽性牛から同居牛4頭へのウイルス伝播は認められず、吸血昆虫の活動期間の6月以降にウイルス陽転牛3頭が認められたことから、吸血昆虫がウイルス伝播のリスク要因であることが示唆される。
3 )乳頭槽内にウイルス3304コピー/3回注入した1頭で感染が成立し、1)の調査結果から常乳中最高濃度を800コピー/ml とした場合に1回あたり約1.4ml の乳汁が乳房内侵入すれば感染する可能性があると考えられる。一方、常乳中最高濃度の12.5倍量のウイルスを含む材料を搾乳機器に注入して延べ105回搾乳して感染しなかったことから、搾乳機器を介したウイルス伝播リスクは低いと考えられる。
4 )牛白血病が発生した農場では飼養牛の全頭検査によりウイルス陽性牛を把握し、ハイリスク牛を摘発し、優先的淘汰を進める。淘汰率が陽転率を上回るように設定すれば、防虫ネット設置などの対策が、ウイルス陽転率の低減に有効である(図3)。

4.留意点
1)牛白血病ウイルス陽性の酪農場が、農場内のウイルス伝播防止対策に活用する。
2)本成績で示した以外の対策は「牛白血病に関する衛生対策ガイドライン(農林水産省)」を基本とする。


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ 小原 潤子
電話(0156)64-0615  FAX(0156)64-6151
E-mail:kohara-junko@hro.or.jp

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