食と農村の価値、都市の生徒に 農村ホームステイ受け入れ進む
【新得・浦幌】NPO法人「食の絆を育む会」(浦幌町、近江正隆理事長)の「とかち農村ホームステイ」が10月22~24の3日間、新得町など十勝管内10市町村で開かれた。修学旅行で訪れた東京都のかえつ有明中学校の生徒80人が、27軒の農林漁業者に宿泊し、収穫体験などを通して食の尊さを学んだ。(吉原慧)
同ホームステイは、修学旅行の中高校生を十勝の農林漁業者が受け入れる取り組み。「農業者や漁業者の姿を都会の住民に伝えたい」という思いから、民間企業が主体となり2010年度に始まった。コロナ禍での休止を挟み昨年度、再開した。
今年度は7~11月を受け入れ期間とし、7校・約700人の生徒が十勝を訪れる予定。新得町内ではかえつ有明中の生徒14人が10月22日、町レディースファームスクールで「入村式」に臨み、受け入れ農家と対面した。
町屈足の畑作農家平一真さん(33)は、生徒6人を受け入れた。「小麦、ビート、大豆など十勝の食材は食品の原料に使われており『十勝産』と意識してもらえないこともある。十勝産品が日本の食を支えていることを伝えたい」という。
生徒たちは午前8時から、朝露対策をしてブロッコリーの収穫作業を体験。平さんのアドバイスに従い、適度に成長した株を選んで鎌で刈り取った。
3年の松原凜空さん(15)は「畑がこんなに広いとは思わなかった。(作物を)傷つけないよう気を付けることがたくさんあり驚いた。朝は寒いが、日差しがあると暖かさが全然違った」と語った。
同NPOは昨年度から、修学旅行とは別に、1次産業に関心を持つ生徒を招くスタディーツアーも行っている。今年度は、昨年度の倍近い約90人が参加を予定している。
近江理事長(54)は「食への関心が高い生徒に向けて、より学びの要素が強いツアーになれば。ホームステイとの両輪で食の価値を都市部の子どもたちに発信したい」と話している。








