「e-Combu」が町内に事務所開設 広尾 コンブ用い粉末飼料量産目指す
【広尾】コンブを用いた飼料の製造・販売を目指す「e-Combu(イーコンブ)」が、広尾町内に事務所を開設した。将来的に量産化も視野に入れる同社は「漁業関係者や地域と連携し、持続可能なコンブ産業の未来を考えたい」としている。(松岡秀宜)
同社は町地域おこし協力隊員の錦古里(にしきごり)大河さん(25)と、小樽商科大2年の大砂百恵さん(21)が昨年6月に設立。海岸に打ち上げられたコンブを用いて粉末飼料を製造、道内外の農家らへの販売を目指している。
2人は起業や社会課題の解決を目指す若者を育てる研修プログラムで出会い、道産コンブを活用した起業を模索してきた。その後、錦古里さんはコンブ漁が盛んな広尾に移住、地域おこし協力隊の農作業補助員として活動する傍ら、漁業者らの協力を得ながら、コンブを活用した飼料の製造販売にも取り組んできた。
事務所は1月に開設。町内の旧しいたけ生産協同組合事務所を借り上げ、事務所兼工場とした。コンブの粉砕機なども設置した。
同12日には事務所で事業内容などの説明会が開かれ、2人が学んだ研修プログラムの関係者や学生起業家、連携する各団体の担当者らが出席。2人はコンブ起点の循環型社会をつくり、海藻大国の日本の伝統と文化を重んじながら、新たな視点でコンブのポテンシャルを引き出したいなどとする同社の方針を説明した。
代表取締役の大砂さんは「コンブの新たな可能性を引き出し、価値をつくり、社会に貢献できるように挑戦し続けたい」、副代表の錦古里さんは「広尾のコンブの新たな活用先を見つけることで、価値向上を目指したい」と意気込んでいる。
コンブにはミネラル、カルシウム、ビタミン、鉄分、食物繊維などが豊富に含まれている。このため、コンブ粉末飼料を養鶏餌に添加すると、卵黄の色が濃くなるなどの色調改善効果に加え、鶏の食欲の向上、肉質の保水性の向上につながる効果も報告されている。