真新しい農機ずらり 春の農作業スタートで出荷ピーク
春の農作業シーズンの始まりを受け、十勝管内の農業機械メーカーでは農機の出荷がピークを迎えている。真新しい機械が敷地内にずらりと並び、次々とトラックに積み込まれ、管内外の農家へ届けられている。
創業115年の老舗メーカー、東洋農機(帯広、太田耕二社長)は今年度、22機種・70型式の計1465台の農機生産を予定。そのうち、3月末から5月上旬にかけて約7割を出荷する。農薬を散布する「スプレーヤ」や、心土破砕・簡易耕起用の「ダブルソイラ」などがこの時期、十勝を含む道内各地に出荷され、一部の収穫機は九州などにも送られる。
スプレーヤは、13分割した配管の開閉を自動で行う「セクションコントロール」を導入したタイプが前年比1割増と、売り上げを伸ばしている。同社は「IoT(モノのインターネット)対応で、効率的に農薬を散布する機械の人気が高い」とする。
昨年の管内JA取扱高(概算)は歴代2番目となる3573億円を記録したが、生産資材の高止まりが農家の経営を圧迫している現状もある。同社の溝口訓由営業販売本部長は「農機の売り上げは前年とほぼ同じだが、昨年の猛暑を受け、『今年の作柄を見てから』と春の購入を見送った農家も少なくない」と話していた。(松村智裕)