ふん尿由来の「バイオメタン」で宇宙に ISTがロケット燃料に採用
【大樹】大樹町内の宇宙開発スタートアップ企業インターステラテクノロジズ(IST、稲川貴大社長)は21日、超小型人工衛星搭載用ロケット「ZERO」(=ゼロ、2024年度打ち上げ予定)の燃料に、家畜ふん尿由来の液化バイオメタン(LBM)を使用すると発表した。(能勢雄太郎)
エア・ウォーター北海道(札幌市)が製造するLBM。同社は帯広市内に製造プラントを構え、環境に優しいバイオメタンのサプライチェーンを構築する実証事業を展開している。
原料のバイオガスは大樹町内の2軒の牧場から調達。実証事業は地域内のバイオマス資源を循環、有効活用するのが目的で、ロケット燃料としての供給も想定していた。
ISTは今年秋にもLBMを使い、町内のロケット発射場でエンジン燃焼器の単体試験を行う。試験で使用するLBMは、バイオガス主成分のメタンを分離・精製し、零下160度で液化したもので、ロケット燃料に使用されている高純度メタンと同等の純度(99%以上)という。
ISTは3年前から、世界的に採用例が増えている液化メタンをロケット燃料に選定し、導入を検討。エア・ウォーターのLBMは性能面に加え、調達性に優れている点を評価した。
ISTは「LBMを使用することで、ロケット重量の大半を占める燃料を持続化し、地球温暖化対策に貢献する。酪農が盛んな北海道の企業としてエネルギーの地産地消にも寄与したい」とコメントしている。