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液化バイオメタン活用、十勝も期待 エア・ウォーター実証

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 エア・ウォーター(大阪)は今年度から、十勝管内でバイオガスを活用した液化バイオメタンの製造・活用に関する実証実験を行う。社会の脱炭素化の流れを踏まえ、新たなエネルギーの実装を目指す。十勝の酪農業界は家畜の多頭化が進んでおり、実用化されれば家畜ふん尿の有効活用につながると期待されている。

 液化バイオメタンは、家畜ふん尿由来の再生可能エネルギー。酪農業が続く限りふん尿は排出されるため、持続可能な国産エネルギーとなり得る。半面、コストを要し、扱いに手間もかかることから、未利用資源でもあった。

 実証は2023年3月まで。大樹町の酪農家2戸から集めたバイオガスを帯広市内の工場で液化バイオメタンに製造、よつ葉乳業十勝主管工場(音更町)で活用する。

 安定製造技術の開発の他、液化天然ガス(LNG)の代替燃料としての可能性を確かめる。よつ葉乳業の十勝主管工場ではボイラーなどにLNGを使用する予定で、同社は「酪農家にとってメリットは大きい。前向きに取り組みたい」とする。

削減率は60%以上
 政府は50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、実証は脱炭素化の流れに合致。実証で製造される液化バイオメタンの全量がLNGの代わりに消費された場合、温室効果ガスの削減率は60%以上になる見込みだ。

 都府県では酪農家の離農が進み生乳生産量が減少。北海道から都府県への生乳移出量が増加し、道内への依存度は高まっている。生乳の安定確保が重要視される中、近年の乳価引き上げもあり十勝では規模拡大が続いている。

 頭数が増える分、課題となるのがふん尿処理。ふん尿利用に向けてバイオガスプラントを導入し、余剰電力を売電して費用を回収する方法もあるが、送電網などの制約があり一部での設置にとどまっている。

規模拡大を後押し
 更別村の酪農家は「十勝の規模拡大は今後も進むが、ふん尿処理が重荷になる。液化バイオメタンが活用できれば(さらなる規模拡大の)後押しになる」と実用化に期待する。

 エア・ウォーターによると、北海道では年間30万トンのバイオメタンを製造できる潜在能力があり、道内の工業用LNGの年間消費量の約50%に相当する。環境意識の高まりから液化バイオメタンの需要は増加すると見込み、30年には70億円の販売を目指している。

 エア・ウォーターの梶原克己氏(生活・エネルギーカンパニー長専務執行役員)は「社会実装にめどをつけるのはもちろん、エネルギーの地産地消に向け、エア・ウォーターの持てるノウハウを生かしたい」と話している。(中島佑斗)

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