「国内消費、自給率上げるチャンス」 ホクレン会長就任 篠原末治氏
【札幌】6月23日にホクレン会長に就任した篠原末治氏(59)=JA士幌町会長=が10日、札幌市内で十勝毎日新聞のインタビューに応じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける中、農産物の国内消費や食料自給率の向上に向けた取り組み強化を図る考えを示した。(津田恭平)
-副会長を経験しないでの会長就任となった。
十勝の組合長から推挙いただいた中で、ホクレン会長という重責のポストを与えていただいた。十勝の代表であるということと、自分に対して経験の豊富な組合長がたくさん応援してくれているので安心して職務に当たれる。JA士幌町は常にホクレンと一蓮托生(いちれんたくしょう)の中で事業を進めてきたので、大きな心配はない。新体制の中で、幅広くスピード感を持って業務をやっていく。
-士幌からの会長は故太田寛一さん以来となる。
太田さんと直接的な関わりはないが、十勝農業の中で、北海道・日本の農業発展に寄与し、ホクレン、全農の会長まで務めた志が今も十勝には受け継がれている。いつの時代も北海道の農民が掲げていた農村ユートピアの実現をこれからも追い求めてきたい。
-新型コロナウイルスの影響と、今後の北海道農業の展望は。
学校給食の休止や、自粛要請で外食、観光業、土産需要が減少している。ホクレンとしては、「#COWエール」や「“おいしい”はエールProject」などを実施し、対応してきた。国や道、消費者が一緒になって農業、生産者を応援してくれていることには感謝している。
コロナ下 選ばれる食を
コロナ禍で国内消費、食料自給率を上げていくいいチャンスでもあると感じている。消費者に国内に目線を向けてもらうことが大事。安全・安心の中で選ばれる食品をホクレンもしっかりと販売していかないといけない。輸出も大事だが、国内の食料自給率を上げていくことが重要。生産基盤の維持・拡大に向けてサポートしていきたい。
-新型コロナ以外で、北海道農業の課題は。
農業者の減少、担い手不足への今後の対応のほか、喫緊で問題になっているのは物流問題。JAグループ北海道の中でしっかりと取り組んでいく。ホクレンの事業の3本柱(販売・購買・営農支援)の中で、営農支援もしっかり取り組んでいきたい。省力化に向けてはスマート農業、ICTなども活用していく。
<しのはら・すえじ>
1961年、士幌町生まれ。士幌小、士幌中央中、帯広農業高、北海道中央農業学園卒。150ヘクタールの畑で、畑作4品(小麦、ビート、ジャガイモ、豆類)とデントコーンを栽培している。2009年にJA士幌町理事に就任し、常務理事、専務理事を経て18年に組合長に就任。ホクレン会長就任に伴い、今年6月に同JA会長となった。