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ビート紙筒 中国に 日甜 普及へ技術協力

天圃農技で今春に行われたポット苗づくりの様子(日甜提供)

 日本甜菜製糖(東京、惠本司社長)は今年から中国で、ペーパーポット(紙筒)を利用したビート栽培の普及に向けた技術協力に乗り出している。同社が長年培ってきた紙筒栽培技術で、気象条件の厳しい同国北部でのビート事業発展に寄与することで、海外展開に弾みをつけたい考え。

 技術協力するのは、同国内モンゴル自治区でビート糖業などを手掛けるグループ「天圃(てんぽ)集団」傘下の「天圃農業科技発展有限公司(天圃農技)」。同グループは全道のビート作付面積を上回る農地で直播(ちょくはん)栽培してきたが、寒冷な気候や強風のため、収量・糖度が低いことが課題という。

 そこで、天圃農技は生育日数を確保できる紙筒に着目。元道立農業試験場の佐藤久泰氏の指導も受け、紙筒栽培導入を模索してきた。昨年の試験栽培では直播に比べ8割近い収量増につながったとし、行政もこの成果に注目。昨年10月には同自治区最北部アルグン市の市長も同社関係者と共に来日し、本格導入に向けて日甜に協力を依頼した。

 日甜は育苗技術指導を行う。また、ビート苗移植機を製造する子会社のサークル機工(滝川市)が2月、天圃農技とライセンス契約を締結、機械化に向けた技術指導を行う。

 今年は同市など同自治区内2地域で当初計画していた800ヘクタールをさらに増やし、計約1500ヘクタールで試験栽培を行っている。新型コロナウイルスの影響で現地指導ができない状況だが、現地から送られてくる動画や写真を通して指導している。同社の寺澤秀和取締役紙筒事業部長は「北海道より低温のため移植のメリットは大きい。互いに協力して現地での栽培技術を構築したい」と話す。

 ペーパーポットは同社が60年前に開発。清水紙筒工場(清水町)で製造している。野菜用を中心に米国などに輸出も行うが、紙筒事業全体に占める割合はわずか。国内需要の先細りが予想される中、同社は海外販路拡大を目指しており、4月には部内に海外事業課を新設している。(丹羽恭太)

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