トマム-芽室間復旧、越年も JR北海道
【札幌】JR北海道は、一連の台風被害の影響による特急の運休が続くJR石勝線・根室線のトマム-芽室間について、全線復旧が越年する可能性を示唆した。島田修社長が、14日の記者会見で明らかにした。復旧工事の進捗状況次第では、年末年始の帰省客輸送にも大きな影響を及ぼしそうだ。
同区間では新得駅構内の下新得川橋梁、新得-十勝清水間の第1佐幌川橋梁、十勝清水-羽帯間の清水川橋梁の3本が流失。そのほか土砂流入や沿岸崩壊など大きな損害だけで12カ所にのぼっている。
復旧作業には、河川や砂防管理者が行う河川改修内容などを踏まえて橋梁や橋台の形状を決め、その後に復旧工事に取りかかる。同社では「重機のアプローチ道路などが確保できて台風などによる工事中断がなければ、概ね3カ月くらいを目標に復旧したい」としているが、会見で島田社長は「12月中には復旧を目指すが、もっとかかる場合もある」と述べた。
根室線の富良野-新得間についても、幾寅-新得間の設備損傷が激しく復旧時期は未定。富良野-東鹿越間は10月中の再開を目指している。
また、一連の台風被害で、運休に伴う減収が約40億円に達する見通しを明らかにした。単月で約60億円に上る鉄道収入のうち、根室線などの特急運休に伴う影響額が毎月約10億円で、これが9月から4カ月間続く、との試算に基づくものだ。
島田社長は「今回の台風被害は当社発足以来最大の規模で、経営に与える影響は甚大。国に対して災害復旧事業費補助金の申請をすることになると思うが、(補助対象となる)現状回復だけで十分なのか。今後の災害に備えた強靱(きょうじん)化にかかる支援もお願いする必要がある」と話した。(浅利圭一郎)