飲食店と空き店舗をマッチング シェアバーの高城さんが事業化
 飲食店を開業したいが空き物件が見つからない-。そんな悩みを解決しようと、帯広市で間借りバーなどを運営する高城聡一郎さん(28)が飲食店と空き店舗のマッチング事業を立ち上げた。不動産会社や内装会社などと連携し、商業ビルなどの空き物件を希望者に紹介。開業支援も行い、起業を後押しする。市街地の空洞化につながる空き店舗を減らすことで、地域の活性化につなげたい考えだ。
(月森七海)
動画で物件情報紹介、資金の支援も
いいね不動産やインテリア鈴木などと連携
 高城さんが1月から準備を進めていた事業で、近く合同会社「キャッチアップ」を設立し、本格始動する。これまでも日替わりで間借りの飲食店が営業する「シェアバー」の運営を通じ、起業を支援してきたが、シェアバーから巣立つ店主もいる中で、新規開業へのハードルを下げるため、新たにマッチング事業を練り上げた。
 空き店舗を見つけてオーナーと交渉し、物件を紹介する動画も作成する。現在SNS上には、開業資金を抑えられる居抜き物件を中心に、10件以上の空き店舗が紹介されている。
 資格が必要な不動産仲介業務は、いいね不動産(帯広市)が担う。同社によると、帯広市内の空き店舗は物件ごとに扱う不動産会社が分かれる一方、まとめて検索できるプラットフォームはなく、物件探しには手間がかかるという。公開情報が新築時の間取り図などに限られることが多く、店舗の雰囲気が分かりづらい点も課題だった。
 同社の田中憲吾社長は「以前から空き店舗の紹介に興味はあったが、リソース(経営資源)が割けず難しかった。物件探しから紹介動画の作成までやってもらえると聞き、提携を決めた」と振り返る。
 内装事業のインテリア鈴木商会(帯広市)や業務用カラオケ機器大手も市街地の活性化を目指し、マッチング事業に協力する。高城さんは「飲食店の備品や消耗品などを扱う企業で、趣旨に賛同してもらえるところがあれば一緒にやっていきたい」と意欲を見せる。
 通常の不動産紹介と大きく異なるのが、開業支援の体制だ。高城さんは、協力企業と話し合い、業者間で発生する紹介料の一部を使って資金面で支援する仕組みを構築した。開業時の手元資金が増えれば金融機関などからの融資を受けやすくなる。希望があれば、営業ノウハウの提供や経理業務の支援など経営サポートを行う方針だ。
 マッチングの実績も出ている。4年ほど飲食店で勤務してきた貝塚彩斗さん(22)は、SNSで動画を見たのがきっかけとなり、「こせきビル」(西2南10)でバーの開業を決めた。「なかなか良い物件が見つからず困っていた。動画で店のイメージをつかめたのが決め手だった」と話す。
 サービスの詳細はウェブサイトで確認できる。問い合わせは高城さん(090・6995・3997)へ。







