目覚めたヒグマに注意 春に被害多発、出没情報確認を
ヒグマが冬眠から目覚める時期を迎え、管内でも複数の目撃情報が寄せられている。道のまとめによると、ヒグマによる人身被害は、山菜採りなどで山に入る機会が多くなる春と秋に多発する。啓発を行う十勝総合振興局は、出没情報の確認など、クマに遭わないための対策徹底を呼び掛ける。
道の集計によると、平成に入った1989年から今年1月まで、ヒグマによる人身被害は合計67件発生(狩猟や駆除の際の事故を除く)。十勝でも、2010年6月に帯広市内で山菜採りをしていた女性がクマに襲われて亡くなった。19年7月には中札内村で、登山中の男性がクマに襲われる事案が2件発生した(いずれも軽傷)。
山は「生活圏」
道内67件の内訳を月別でみると、10月(14件)、4月(12件)、5月(10件)、6月(9件)と続き、春と秋が多い。春は山菜採り、秋はキノコ狩りなど山に出掛ける人が増え、ヒグマも冬眠明けや、冬眠を控える秋に活発に動く。「ヒグマの生活圏に入る人が多くなる」(同振興局)ことから、遭遇する確率も高くなると考えられる。実際、67件の人身被害のうち、約半数の33件は山菜・キノコ狩りをしている最中の被害だった。
食品持ち帰って
道は今月末まで「春のヒグマ注意特別期間」として、啓発を行っている。十勝総合振興局環境生活課の内田朋宏課長は山に入る前の準備として「自治体のホームページやSNSなどでクマが出没していないか確認を」とする。出没情報があれば無理して山に入らない判断も必要。クマに遭わないためのポイントとして鈴など音の出るものの持参、食べ物は持ち帰るなどの徹底を促している。
道警釧路方面本部によると、今年3、4月に管内5署に届け出があった件数は前年同時期と同じ12件。内訳は帯広署3件(前年比1件減)、広尾署3件(2件増)、池田署4件(前年同)、新得署1件(前年同)、本別署1件(1件減)。(中島佑斗)