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存続のため住民が580万円出資、上更別唯一の食料品店~ポピーマート20年(1)

今年20周年を迎えたポピーマート

 更別村上更別地区にある小さなスーパー「ポピーマート」。地域唯一の食料品店として住民の食卓を支えてきた店が、間もなく20周年を迎える。上更別市街地を守ろうと、行政や農協に支えられ、住民たちが力と工夫で運営を続けてきた。

 「卵やしょうゆなど足りない物をすぐに買い足せるので、店があって助かっている。これからも続けていってほしい」。上更別東栄区の農家、高橋瑛子さん(37)は幼稚園に子どもを迎えに来たついでにポピーマートに寄るのが日課だ。

 ポピーマートは2004年6月に閉店したAコープ上更別店の店舗を活用して同年11月に開店。運営は一般社団法人オアシス(若園榮一代表理事)が担っている。有限責任中間法人としてスタートした当時、設立に必要な580万円を出資したのは上更別の住民たちだ。

開店に尽力した田川さん

 「農協が上更別の店を畳む。黙っていていいのか」。法人設立に尽力し、理事も務めた田川正弘さん(83)は、当時の村企画政策課長の言葉がすべての始まりだったと記憶する。Aコープ上更別店閉店の約半年前のことだった。村やJAさらべつは地域を守るためにも「住民たちによる店の存続」を提案し、すでに後押しする体制を整えていた。

 春先の農作業が始まる中、作業を終えた農家たちが夕方に集まり、数日にわたる議論が始まった。「店がなくなることは市街地の衰退を意味する」と多くの人が理解していたが「農協がやって駄目だった店を、素人がやって成功するわけがない」という思いも拭い切れない。議論は堂々巡りが続いた。

「どうせ駄目でもやってみよう」
 まとまらない話し合いに終止符を打ったのはその場にいた一人の決意表明だった。「どうせ駄目なら、やって駄目にする。やらないで駄目というのは自分の主義ではない」。そこからは、誰も反発はしなかった。

 「決定してしまったら、ちゃんと協力する。ここが上更別のすごいところだ」と田川さんは胸を張る。出資金は上更別の160戸から集まり、Aコープ上更別店閉店から1カ月後に法人が誕生。道内初の有限責任中間法人運営の店としてポピーマートが開店した。



 上更別地区の住民による出資で2004年に誕生した同地区唯一のスーパー「ポピーマート」が11月13日で20周年を迎える。運営を支えてきた人々やこれからの店を担う次世代の声を4回にわたり紹介する。(近藤周が担当します)


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