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再び獣医師の道へ 病気予防に意欲 帯広の前谷文美さん開業

繁殖のサポートだけでなく、飼料設計を通じた病気予防で畜産農家を支える前谷さん

 この春まで十勝管内の飼料会社に勤務していた前谷文美さん(帯広市)が「ファームマネージメントクリニック」を開業し、牛や豚の獣医師として活動している。過去に獣医師として働いていたが、飼料設計を通じた病気の予防を学ぼうと飼料会社に転職。知識を深める中、コロナ禍による環境変化もあり、再び獣医師として歩みだした。経験を生かし、「牛や豚が健康に長生きできるように根本からサポートしたい」と往診に向かっている。

 前谷さんは大阪府出身。大阪府立大農学部獣医学科を卒業後、千葉県の農業共済組合連合会で獣医師として5年間勤務した。十勝で働いていた篤人さん(45)との結婚を機に、2011年に帯広に移住した。

 帯広に住み始め、12年から今年3月まで管内の飼料会社に勤務した。獣医師として働いた中で、治療の前段階の病気予防の大切さを感じたのがきっかけだ。餌の配合などを考える飼料の組み立てを通じ、予防の知識をつけたいと考えた。飼料設計用のソフトが英語対応のため「英語学習にも苦労」しながら、飼料設計を一から学んだ。

 16年から約4年間は、帯広畜産大学大学院で乳牛の病気予防法を学ぶなど理論も突き詰めた。

 いずれ獣医師に復帰することも考えていた中で、新型コロナウイルスの感染が拡大。2人の子(現在小3の長男と3歳の長女)がおり、休校などで子どもの預け先に困った経験から、子育てをしながら働く難しさを痛感した。「子に合わせてフレキシブルに働きたい」と、日本政策金融公庫の資金融資も得て4月に獣医師として独立、ファームマネージメントクリニックとして業務を始めた。

 開業後は往診獣医師として、牛・豚の繁殖サポートのほか、9年間の飼料会社勤務の経験も生かし、餌の設計を指導。適切な農場管理を目指すための「JGAP」指導員や、農場の衛生管理向上に向けた「農場HACCP」審査員の資格も持ち、農業者への指導など仕事の幅を広げている。

 今後はファームマネージメントクリニックとしても規模を広げ、離職している女性獣医師が活躍できる場をつくっていきたい考え。前谷さんは「牛や豚の病気の根本を突き止め、農場全体を良くしていきたい」と意欲を燃やしている。(中島佑斗)

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  • 繁殖のサポートのみならず、飼料設計を通じた病気予防で畜産農家を支える前谷さん

    繁殖のサポートのみならず、飼料設計を通じた病気予防で畜産農家を支える前谷さん

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