創業の地・中士幌によみがえる オカモトのGS1号店、モニュメントに
【士幌】オカモト(帯広市、岡本謙一社長)は、同社創業の地である士幌町中士幌にあったガソリンスタンド(GS)を“モニュメント”として復元した。「発祥の地を思い起こし、原点に返る」(岡本社長)との思いが込められ、歴史を感じさせる外観が道行く人の目を引いている。
同社は今年で創業70周年を迎えるに当たってレガシー(遺産)を残そうと、国道241号沿いでGS1号店として親しまれた「中士幌給油所」をその地によみがえらせた。
柵で囲まれて給油はできないが、塗装され、事務所や計量機、ポータブル給油機、看板などを設置して当時を再現。看板には、日本石油が提携していた米国の国際石油会社「CALTEX(カルテックス)」の文字が書かれている。
同社の歴史は、岡本社長の父忠一さんが中士幌に新聞販売所を開設した1950年にさかのぼる。朝刊と夕刊の配達の合間には雑穀業も手掛け、雑穀の輸送に使う大量の燃料を確保するため自家給油設備を置いていた。
自家用車の普及に伴って石油販売に乗り出し、64年にGS1号店の中士幌給油所を開業。当時、都内の大学に通っていた岡本社長は帰省のたびに家業を手伝い、音更町木野地区に2号店を開設するまでの2年間はここで働いたという。
同給油所は89年に閉鎖。現在、同社運営のGSが全国で120を超える中、原点でもある約230平方メートルの区画と事務所はこれまで残されていた。
モニュメントとして生まれ変わり、今後は社歴を振り返るモノクロ写真を展示する予定もある。岡本社長は「ここから始まったという歴史を、社内や地域の人に知ってもらいたい」と話している。(大海雪乃)