27年の「和牛五輪」が道内で初開催、十勝も有力候補地 推進協議会が発足
【札幌】「全国和牛能力共進会」(全共)の第13回大会(2027年開催)の道内誘致に向けて21日、関係者による推進協議会が発足した。同共進会は5年に1度開かれ、「和牛のオリンピック」と呼ばれている。27年大会に名乗りを上げているのは北海道のみで、主催する全国和牛登録協会は11月の理事会で道内開催を正式決定する見通し。道内開催は初めてで、会場は十勝農協連家畜共進会場(音更町、アグリアリーナ)が有力候補地の一つになっている。
全共は1966年に岡山県で初開催。前回(2017年)は宮城県で開かれ、39道府県から513頭が出品された。次回の22年大会は、鹿児島県での開催が決まっている。
和牛らしい体形や品位など雄・雌牛の改良の成果を競う「種牛の部」、と畜して和牛の肉質・量を競う「肉牛の部」に分けて審査する。
道内で開催が実現した場合、会場は十勝農協連家畜共進会場と北海道ホルスタイン共進会場(胆振管内安平町早来)が有力候補地となる。会場になれば生産者や関係者の宿泊など、経済効果も期待される。今後、他の候補地を含めて検討を進める。
誘致推進協議会は道、JA北海道中央会、ホクレン、十勝農協連など14団体で構成。21日に札幌市内で設立会合が開かれ、会長に鈴木直道知事、副会長に北海道酪農畜産協会の串田雅樹会長(JA道中央会副会長、JA十勝清水町会長)ら2人を選出した。道和牛振興協議会の宮前裕治副会長(十勝和牛振興協議会会長)も出席した。
鈴木知事は「道産和牛は府県の著名和牛と比較すると、知名度や価格の面で課題がある。道内誘致は産地としてのブランド力を向上させるためのチャンス」と強調。串田氏は「北海道は子牛生産頭数が全国2位となり、素牛(もとうし)供給産地の役割を担ってきた。道内誘致で生産者の改良意欲の向上などが期待される」と述べた。
道産和牛の試食会も開かれ、十勝和牛育種推進部会の武隈英和部会長(豊頃町)ら2人が紹介された。武隈さんは「北海道は和牛の後発地域だが、若手が中心となって盛り上げていく」と語った。
十勝での和牛生産は、道内外の和牛農家への素牛の供給が主体だったが、近年は肥育も活発化。「十勝和牛」が11年に特許庁の地域団体商標に登録されるなど、ブランド化の取り組みも進められている。前回大会では道代表23頭のうち14頭が十勝からの出品で、存在感を示した。(津田恭平)