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選果場、完全自動化へ 個別包装し鮮度保持 川西長いも

選果場の機械更新で導入されるナガイモの個別包装

 JA帯広かわにし(有塚利宣組合長)は、管内9JAで生産する「十勝川西長いも」の選果場(帯広市別府町)について、選別から箱詰めまでの作業を完全自動化する。工場の出荷能力が3割向上、新品種「とかち太郎」の導入に伴う収量増や人手不足に対応する。鮮度が長持ちする個別包装にも転換、輸出を含めて品質向上を図り、他産地との差別化につなげる。総事業費は31億7000万円。来年1月に着工し、同2月下旬の稼働を予定している。

 選果場は建物部分と原料搬入の一部設備を残して機械を解体、一新する。総事業費の約5割は国の産地パワーアップ事業の補助金を活用する。

 現工場は1991年度に完成。2004年度に自動選別の現ラインに更新した。新たな選別機は3Dで精度が大幅に向上する。選別、包装、箱詰めを自動化することで、現在より10人少ない50人程度で、出荷量は3割増の1日100トンを実現する。現工場の稼働は年内で終える。

 箱詰めは、おが粉を廃止して個別包装を採用する。ポリプロピレン製の袋で1本ずつ自動包装する。脱気はするが吸気はしない特殊な包装技術を使い、鮮度を保つ。おが粉に長期間入れると雑菌で切り口が変色することがあるが、船便で1カ月かかる米国やシンガポールに輸送試験し、おが粉以上に鮮度が維持できることが分かった。

 おが粉は資材価格が上昇、量販店では廃棄の手間もかかることから個別包装のニーズが高まっていた。トレーサビリティー(生産流通履歴)は従来の箱単位から、1本ごとに追跡が可能になる。

 同JA青果部の常田馨部長は「ユーザーが一番心配する鮮度の保持を検証することができた。安心安全を極めて、輸出では中国産との差別化を図る」と強調。有塚組合長は「現代の技術革新により生産者と消費者の双方の期待に応える新たなチャレンジ」と話している。

 同JAやJAめむろを中心に広域で栽培する「十勝川西長いも」は、十勝産ナガイモの代表的ブランド。17年度は2万1100トンを生産し、一部を米国、台湾、シンガポールに輸出している。今年産から新品種「とかち太郎」に切り替え、収量増が見込まれている。(安田義教)

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