大型患畜の自走式手術台開発 帯広のサンアイ薬業など
動物用医薬品販売のサンアイ薬業(帯広市、北守輝隆社長)は、釧路市の鉄工会社と共同で、牛など大型動物用の自走式手術台を開発した。従来は牛を手術台に連れていかなければならなかったが、逆に手術台が牛を迎えに行くことで獣医、患畜双方の負担を大幅に軽減できる。
同社は1980年から従来の固定式手術台を販売しており、メンテナンスを菱エステイ島本鉄工(釧路市)が担ってきた。当時から販売してきた手術台の更新時期を迎え、買い替え需要も多くなってきたことから、両社で新たな手術台を開発することにした。
従来の手術台は手術室に固定されている。牛を牧場からトラックで運び、搬入口で下ろした後に引っ張るなどして連れていかなければならず、中には動こうとしない牛もおり、獣医師の負担となることも。
新たな自走式手術台は、電動モーターで動く四輪を装備し、タッチパネル式の操作盤で動かす。長さ4メートル、幅2メートル、高さ77センチ。動物の重さは1トンまで対応できる。菱エステイ島本鉄工が北海道経済産業局の「ものづくり中小企業・小規模事業者開発支援補助金」を受け、試作資金を確保できたことから、今月、試作品を完成させた。
固定式はピットと呼ばれる溝を作る工事が必要だが、自走式では不要なため建設費が削減できる。
サンアイ薬業が販売を担い、完全受注生産で価格は2000万円前後を予定。特許も出願中で、来月から十勝NOSAIで実用可試験を行い、春ごろから注文を受け付ける。
北守社長は「無理に引っ張っていくこともないので患畜に負担が掛からず、医師も力を使わずに済む。動物医療の向上につながれば」と話している。(眞尾敦)