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「熊文学」と評価、直木賞受賞の河崎さん 今後も道内拠点に活動

直木賞を受賞し記者会見場で撮影に応じる河崎さん(中央)。右は芥川賞の九段理江さん、左は直木賞の万城目学さん

 【東京】第170回直木賞を受賞した十勝管内在住の河崎秋子さん(44)は17日夜、都内で会見した。「喜びの渦に巻き込まれた」と吉報が届いた心境を述べ、「憧れだった直木賞を受賞し、本当にうれしい。直木賞受賞作家として、現実をどのように見て何を残していくのかを改めて考え、研さんを重ねていきたい」と語った。

 受賞作「ともぐい」は、14年ほど前に書いた物語を肉付けして誕生した作品と説明。「文章表現は未熟だが、こういうものを書きたいというクリエーティブな欲求が詰まっていた。経験を経た中で読む人のことを考えて物語を作り直せ、なおかつ最初の原動力を再現して書き上げられ満足している」と話した。

 北海道で酪農や綿羊飼育に従事し、クマに近い場所で暮らした経験から、クマが出そうな場所は五感で感じ取っていたという。その経験と猟師など先人の言葉を結び付け、圧倒的な文章力として物語の中で再現。選考委員からは「熊文学」と評された。

 子どもの頃から本が好きで、本を通して社会や世界を知る経験を重ねてきた。「自分が感銘を受けたように、読んでくれた人の心に何かを届けられたら」と願う。「まだまだ北海道で調べたいこと、掘り出したい物語がある」とし、今後も道内を拠点に活動する考えを示した。

 選考会当日の朝は十勝の自宅で迎えた。「落ち着けず、気をまぎらわせようと朝一番にスコーンを焼いた。朝ごはんに食べ、身も心も満たしてから飛行機で東京入りした」と明かし、会場を和ませた。(池谷智仁)


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