レーザー光線でカラス排除 十勝の牧場でも効果 日東電気工業が販売
レーザー光線を照射して、牛舎内のカラスを追い払う装置が注目を集めている。山陰パナソニック(島根県)などが開発し、同県の牧場ではすでに100台以上設置。道内の販売は日東電気工業(帯広)が担い、すでに置いている鹿追町内の牧場などでも効果が出ている。(松村智裕)
道の調査によると、2021年度の野生鳥獣による道内農林水産業の被害額は54億5000万円。鳥獣別ではエゾシカが44億8000万円、次いでカラス類が2億7000万円に上る。畜産分野ではカラスが牛をつつくなどの被害があり、目や乳房を傷つける場合も。牛のけがや乳量の減少、販売価格の低下につながるため、各農家は防鳥ネットなどで対策を講じているが、利口なカラスの対応に頭を悩ませているケースが多い。
同装置は、カラスが嫌がる緑色の光を5分間のオン、オフを繰り返しながら照らす。光の形は四角やリボンなど10パターンあり、装置が首を振る範囲は0~355度で調整可能。タイマー設定もでき、氷点下10度までの環境で使用できる。
山陰パナソニックとつながりがあった日東電気工業が道内の取り扱いを請け負い、今年5月から浦幌町内の牧場に試験的に5台設置。9月から道内販売を本格的に開始し、鹿追の2牧場が計5台導入している。同社によると、各牧場からは「カラスが近寄らなくなった」「すぐ逃げていく」など効果を喜ぶ声が聞かれるという。
価格は約20万円で工事費は別。同社の森脇博志社長は「実証実験ではレーザーによる牛への影響は出ていない。カラスが来ないことでストレスが減り、乳量などは良くなるようだ」とし、「十勝の酪農家の悩み解決に少しでも役立てば」と話している。
問い合わせは同社(0155・34・5930)へ。