千歳鳥インフルで十勝も警戒、道内の流通に影響大
千歳市内の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザを受けて、十勝管内で採卵鶏などを飼育する農場には警戒感が広がった。今回殺処分される採卵鶏は約55万羽で道内の1割を占めるため、関係者は今後の卵価や流通量への影響も注視している。
秋から春にかけては、渡り鳥の飛来シーズンで鳥インフルエンザの警戒期。千歳市内の発生で今期は全国26道県で過去最多の82例になり、殺処分の対象は1700万羽に上った。
十勝家畜保健衛生所では28日、今回の発生を受けて十勝管内で家きんを100羽以上飼育する農場約30戸に対して文書で注意喚起。発生リスクが高まる中で既に警戒を強めているが改めて案内した。
清水町内に農場を持つホクレンくみあい飼料は「これまで同様に継続的に防疫を強化していきたい」とする。
今回殺処分される採卵鶏約55万羽は全道の1割を占め、流通量への影響は避けられない。道内では昨年4月にも、胆振管内白老町で採卵鶏約52万羽が殺処分されていて追い打ちをかける形になった。道内の養鶏業者は「元の数に戻るまでは1年~1年半はかかるだろう。全国的に発生が多くて道外からは卵が入ってこないので、しばらく逼迫(ひっぱく)するのではないか」とみている。
大手スーパーのダイイチによると、帯広地区の店舗は十勝管内の鶏卵業者のため直接仕入れに影響はないものの、今後の流通量次第では商品を他地区に回す可能性が出てくる。仕入価格上昇で、既に4月からは10~20円の値上げを予定しているが、同社商品部は「今後の影響を見て価格改定の必要性を見極めたい」としている。別の業者は「小売りでは青天井とはならない。消費が落ち込まないよう、回復後を考慮しながらになる」とする。
十勝家畜保健衛生所は「今後は野鳥への広がりを注視している」と話す。弱っている野鳥などを見掛けた場合は触らずに、同振興局環境生活課(0155・26・9031)などへ連絡するように求めている。(安田義教、佐藤いづみ)
職員15人派遣 十勝総合振興局
十勝総合振興局は29日、千歳市内の発生農場での防疫や殺処分に当たる職員15人を派遣した。本庁から4月4日まで1日当たり15人の要請があり、局内の各部署で交代しながら職員を派遣する。芳賀是則局長らの見送りを受け、29日午前に15人が千歳市に向かった。十勝家畜保健衛生所の獣医4人も28日から防疫業務などで現地入りしている。