春耕間近 ビートの苗作り始まる
【中札内】本格的な農作業シーズンを前に、十勝管内の畑作農家が砂糖の原料となるビートの苗作りを始めた。ビニールハウス内でビートの種子を発芽させ、ある程度生育した4月以降に畑に植え付ける。苗が春の強風に飛ばされたり、霜で枯れたりするリスクを減らす目的で、早春の苗作りは十勝農業の始まりを告げる風物詩となっている。
村共栄東4線の鎌田農園(鎌田和志代表)は今年、8ヘクタールの畑でビートを栽培する。27、28の両日、近隣の農家から委託された分を含め、約86万個の種子と土をペーパーポットと呼ぶ紙筒に詰め、苗を作った。家族と従業員の計10人で分担し、手際よくこなした。
暖かいハウス内で、苗は1週間ほどで発芽する。順調なら、作った苗の9割以上を畑に植え付けられるという。鎌田代表は「発芽後にしっかり温度管理できるかが、畑に移植した後の生育を左右する」と話す。
鎌田農園では昨年、ビートの生産量が過去最高となった。苗作りは収量の安定につながる半面、手間がかかるのも事実。人手不足から種子を畑に直播(ちょくはん)する農家が増えている。
道農政部によると、昨年の管内のビート作付面積は2万5556ヘクタール。このうち、直播による作付けが全体の26%あった。
(伊藤正倫)