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日本伝統俳句協会新人賞に輝く 本別町出身の渡辺さん

 【東京】本別町出身の渡辺光子さん(43)=東京都葛飾区在住=が、第28回日本伝統俳句協会新人賞を受けた。昨夏の京都、奈良旅行で印象に残った風景や心情を、「夏日」と題して30句にまとめ、8回目の応募で念願の賞に輝いた。「とてもうれしい。四季がはっきりした十勝で生まれ育ったことが表現に生かされている」と喜んでいる。

 渡辺さんは1974年生まれ。芽室小、新得富村牛中、芽室高校、文化女子大学室蘭短大(当時)を卒業し、上京した。文芸創作の経験はなかったが、テレビ番組で俳句に興味を持ち、2008年に都内の同協会卯浪(うなみ)俳句教室に入り学び始めた。13年に俳人坊城俊樹さん主宰の俳句結社花鳥に入会し、昨年から同人。同協会会員。

 受賞作の中の1句、「通し鴨(がも)雨降り初めてゐて一羽」は、奈良県の古墳で見たカモを詠んだ。渡りの季節を逃し、1羽でたたずむ通し鴨と雨の情景を重ね合わせ、わびしさを表現した。「句の情景を的確に表す写生と、季語・季題をしっかり表現することを意識した」と振り返る。

 同賞は50歳以下を対象に毎年選考され、今回は166編が寄せられた。高浜虚子の孫の稲畑汀子会長など俳壇の重鎮が選者として討議・選考し、予選と本選の一次、二次選考を経て決定される。渡辺さんは過去に本選二次選考まで残ったこともあり、受賞連絡に「驚いて涙が出た」。尊敬する坊城さんからも祝福の言葉を受け、喜びをかみしめる。

 「助詞の位置でも世界ががらりと変わる。解釈する読み手を信じ、表現を究極までそぎ落とす過程が楽しく、奥深い」と、五七五の世界への思いは尽きない。家事中や通勤電車内でも作句し、帰省時に十勝の風景を詠むことも。「次は協会賞を目指したい」と意欲を新たにしている。
(原山知寿子)

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