十勝の海鮮全国へ、物産展向け弁当開発 帯広物産協会など3団体
道外での十勝産海産物の認知度向上と販路拡大を目的に、帯広地方卸売市場(山室俊晴社長)と食品製造販売のモア・フーズ(帯広、森山義一社長)、帯広物産協会(有塚利宣会長)の3者が連携し、百貨店の物産展向けに海鮮弁当を開発した。物産協会によると、管内企業が百貨店の物産展で海鮮弁当を提供するのは初めて。地域の企業・団体が連携した商品開発によって、十勝の海産物のブランド化を進める。
全国の百貨店で催され、大勢の客を集める北海道物産展だが、中でも人気が高いのは海の幸をふんだんに使った海鮮弁当。関係者によると、高単価の海産物の取り扱いが多い函館物産協会の昨年度物産展取扱額は約22億円と、6億円弱だった帯広物産協会の4倍近い。
十勝には3つの漁協があるものの、農畜産物のイメージが強く、物産展での海産物の取り扱いは一部にとどまる。ただ、管内では三ツ星レストランシステム(釧路、谷川富成社長)が展開する回転すしチェーンのなごやか亭が物産協会とともに、2年前からフードバレーとかち応援フェアを推進。十勝産食材を積極的に使い、地場産の魚介類の普及や地位向上にも努める。
物産協会も道外へ十勝の海の幸をPRしようと、「10年来の悲願」(木戸善範事務局次長)という海鮮弁当の開発に向けて始動。物産協会の会員として20年以上物産展に参加し、豊西牛を使ったプライベートブランド商品を手掛けるなど、一連のノウハウを持つモア・フーズが、物産協会の構想をもとに製造・販売する。
8種類の弁当を用意し、そのうち2種類は十勝産のイクラやツブ、時鮭やサクラマスなど全て十勝産の海産物を使い、他地域と差別化した。価格は1300~1500円程度を想定している。海産物は全て帯広市場から調達することで、食材の信頼性も担保する。3月の物産展から販売を予定し、今後は秋サケやマツカワを使った弁当を提供するほか、豊西牛を使った弁当の開発も進めている。
モア・フーズの森山社長は「市場と物産協会の協力で完成した商品。十勝を背負う責任を感じる」、帯広地方卸売市場の平井智晃水産部主幹は「十勝の海産物を知ってもらえるチャンス」と話す。帯広物産協会の木戸次長は「農畜産物にスイーツ、そして海産物と、トータルで十勝を売り込む商品がそろった。物産展でのシェア拡大や十勝物産展も期待できる」と手応えを感じている。(土屋航)