更農高生が育てた黒毛和牛が市場に 全共控え初挑戦
【更別】更別農業高校(室伏諭校長)は、12月2日に開かれるホクレン十勝地区家畜市場(音更)の肉牛市場に、校内で生徒が飼育してきた黒毛和牛を初めて出品する。同校によると管内高校からの市場出品は初めてで、生徒たちは「牛の成長を見てもらい、協力してくれた十勝の生産者に感謝を伝えられる日にしたい」と話している。(近藤周)
肉牛の素牛生産が盛んで、全国和牛能力共進会(和牛全共)を2年後に控える十勝。管内の農業高校として酪農・畜産分野の学びに力を入れようと、同校でも昨年度から授業で肉牛生産に取り組んでいる。今回は校内で飼育する乳牛への受精卵移植で、昨年12月と今年2月に誕生した黒毛和牛の雄2頭を出品する。
同校でも初めての試みとなる肉牛の飼育方法や牛舎設備、受精卵移植について、福澤農場(上士幌)や武隈ブリーディングファーム(豊頃)から助言や協力を受けた。また、十勝和牛振興協議会(宮前裕治会長)は昨年度から、支援金や受精卵の寄付を通じ、同校を後押ししてきた。
生徒たちは畜産分会のメンバーを中心に、放課後の干し草の補充や牛舎の見回り、定期的に体重・体高の測定やブラッシングを行い、約1年間、初めての黒毛和牛飼育に汗を流してきた。出生時はそれぞれ25キロ、45キロだった2頭の体重は現在は300キロを超えるまでに成長した。
大塚桜里奈さん(生活科学科2年)は「生まれてからずっと見守ってきた牛が市場に出るのはうれしい。ただ、少しさみしさもある」と、元気いっぱいの2頭を優しくなでた。2頭は素牛として市場に出品され、競り落とされれば肥育農家で育成牛として育てられる。渡部豊実さん(同2年)は「市場まで気を抜かずにちゃんとお世話し、少しでも高い値で売ることができたら」と話した。
同校では7月にも、乳牛への受精卵移植で雌の黒毛和牛1頭が誕生した。この雌は母牛として育て、今後は人工授精での繁殖にも挑戦する計画だ。
畜産担当の渡邉琢益教諭は「たくさんの支援や協力で市場出品という一つの目標に到達できた」と達成感をにじませる。また「2年後には十勝で全共も開かれる。生徒たちも運営の手伝いなどで協力できるように、今後も学びを深めてもらいたい」と期待している。
更農高生が育てた黒毛和牛が市場に













