JAXA、大樹で「大気圏再突入」研究
制御技術確立へ気球実験成功
【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、大樹航空宇宙実験場(町多目的航空公園内)で、大気圏再突入システムの研究を目的とする気球を打ち上げた。今年度第2次実験の1基目。高度37キロからアポロ型のカプセルを落下させ、制御特性を確認する実験に挑み、成功した。
同システムは東大の中須賀真一教授を中心に研究が進められ、重量50キロ以下の超小型衛星の地上での回収を目指している。研究には、小惑星探査機「はやぶさ」の再突入カプセル開発に携わった「IHIエアロスペース富岡事業所」(群馬県富岡市)も加わり、今回の実験では、はやぶさのパラシュート技術も生かされているという。気球は午前4時40分に打ち上げられ、高度37キロまで上昇。最大で直径63メートル、体積10万立方メートルまで膨らんだ。切り離された円すい形のカプセル(直径65センチ、高さ40センチ、アルミ製)は上空でマッハ1前後の速度(遷音速)に達し、その環境下でカプセルの不安定性のデータを取得した。
気球などは同実験場の南東約30キロの海上に着水し、同8時25分までに大樹漁協の協力で回収された。今後、不安定性のデータを生かし、制御技術を確立していく。
第2次実験は9月中旬まで。当初5基の放球を予定していたが、準備が整わないなどの理由で3基とする。(佐藤圭史)