耕土興論「牧野伊三夫(画家) 夏の休暇」
数カ月の間、小さな本の原稿を書いていた。ある画家について考察する内容の、文庫サイズのわずか64ページの本だったが、締め切りを一カ月以上も過ぎてしまっていた。思うようにはかどらず、八月のはじめ、夏の休暇のために九州へ向かう新幹線の中でも書いていた。 この仕事を片付けて、駅の売店で冷たいビールや..
数カ月の間、小さな本の原稿を書いていた。ある画家について考察する内容の、文庫サイズのわずか64ページの本だったが、締め切りを一カ月以上も過ぎてしまっていた。思うようにはかどらず、八月のはじめ、夏の休暇のために九州へ向かう新幹線の中でも書いていた。 この仕事を片付けて、駅の売店で冷たいビールや..