「LC―2建設なら大樹も」 ホンダのロケット打ち上げ拠点
【東京】本田技術研究所の櫻原一雄宇宙開発室長は29日、2029年に準軌道への到達を目指す再使用型ロケットの開発について、「高頻度発射が可能な『LC-2』が建設されるならば、今後も大樹町での打ち上げ継続を検討したい」と述べた。大樹町で行った6月の離着陸実験後に拠点を再検討する方針を示していたが、「町役場や漁協の皆さんが実験にたくさん協力してくれ、実験の成功をわが事のように喜んでくれたことが、非常にありがたかった。打ち上げの環境が整うならば、当然、選択肢に入る」と強調した。
東京ビッグサイトで開幕したジャパンモビリティショー2025(29日~11月9日)のホンダブースで実験機を初公開したことに合わせ、プレスブリーフィングの会場で十勝毎日新聞の取材に応じた。
今後、高度100キロ程度まで到達可能なロケットを実用化するためには、機体サイズを大きくする必要がある。それに合わせて打ち上げ場所も現在の実験場とは違う本格的な射場が求められることになる。
これについて、櫻原室長は「大樹町で26年秋に完成する『LC-1』はインターステラテクノロジズ社の専用射場に近いものと認識している」とする一方、現在の不安定な国際情勢では他国での打ち上げも容易ではなく、「国内で打ち上げられる現実的な場所は限られる」と分析する。
大樹での打ち上げ継続に関しては、「将来的に人工衛星を輸送する際にも、顧客の要望に応じていろいろな場所で打ち上げられることが理想。多様なロケットを高頻度で発射できる『LC-2』が実現するのなら、大樹町の皆さんと一緒に夢を実現できればと考えている」と語った。
今年のモビリティショーで、ホンダは次世代電気自動車「0(ゼロ)シリーズ」などと共に、再使用型ロケットを紹介。三部敏宏社長は「ホンダは夢を形にしてきた企業。ロケット開発も、どんな困難に直面しても乗り越えていく」と実用化への意気込みを示した。(奥野秀康)









