認知症対応、高齢者施策と一体で 市の認知症施策を介護高齢福祉課に移管
帯広市は今年度、認知症に関する業務を地域福祉課から介護高齢福祉課に移管した。認知症の発症は主に高齢者であるため、認知症対応と高齢者福祉の各施策の連携を強め、効率的な支援を行うことが目的。介護高齢福祉課では、認知症支援の事業を引き継ぎ、相談窓口も整備した。同課は「高齢者が持つ複合的な悩みにも対応しやすくなった」とする。(貞野真生)
これまで認知症対応は、地域全体で支援する観点から地域福祉課が担っていた。近年は高齢者施策との連携強化の必要性が高まったほか、昨年施行の認知症基本法で「新しい認知症観」が示された。発症しても希望を持って日常生活を送れるなどとするもので、認知症への関心の高まりもあり移管を決めた。
市は認知症の人とその家族を支える「認知症サポーター養成講座」を開催。早期発見のため氏名や顔写真を事前登録して関係機関と共有する「市認知症高齢者等SOSネットワーク事業」も展開している。
これらの事業が地域福祉課の地域包括ケア係から介護高齢福祉課の高齢者福祉係へ職員5人とともに移った。また、市庁舎1階の介護高齢福祉課に窓口を置き、高齢者が抱える認知症だけではない複雑な相談にも対応できるようにしたという。
移管から2カ月たって、「市民の声が聞きやすくなった。相談されることが増え、現状を知りやすくなった」(介護高齢福祉課)という。
今後、親が認知症になる可能性のある、働き盛り世代にも認知症について理解を深めてもらうため、企業向けの啓発活動などを検討するとしている。