ひきこもり相談42件 外出や就労事例も 「ゆっくりん」開設1年
帯広市は、昨年5月に開設した「市ひきこもり支援ステーション・ゆっくりん」の利用状況をまとめた。利用件数は4月末までの1年間で42件で、市は市内の当事者数を勘案すると利用は低調とみている。周知不足を一因に挙げる一方、ゆっくりんにつながったことをきっかけに、外出や仕事が可能になった人もいるといい、「支援は着実に進んでいる」(市地域福祉課)としている。(貞野真生)
「窓口あることを知って」
ゆっくりんは当事者やその家族の相談を、社会福祉士などの専門職が受ける事業。社会福祉法人慧誠会が事業を受託し、昨年5月に市内のソネビル(西6南6)で運営を始めた。
相談に訪れた延べ48人のうち、当事者が11人、家族が30人、関係機関などが7人だった。同居の親が子の将来を心配して相談に訪れるケースが多いという。利用年代別で見ると20~30代が最多で、約6割(24件)を占めた。同課は学校や職場でつまずき、ひきこもりになりやすいと推測する。
市は国の推計を基に、市内では2000人近くがひきこもり状態にあると推測。支援を受けてひきこもり状態から抜け出せた人もいるが、「まだまだ相談に来られない人も多い。窓口を知って相談に来てほしい」(同課)と呼び掛ける。
ゆっくりん開設前の2023年5月から1年間は、市庁舎1階の市民相談室に設置した「ひきこもり相談窓口」で市職員が相談を受けていたが、専門職による支援を中長期的に行えるよう、同会に事業を委託した。医療や福祉など多面的な視点から、当事者だけでなく家族へのケアなども行えるようになったという。
市は今年度、新たに就労体験の試験実施を予定。支援策の一つとして慧誠会側から提案があった。就労を目標とする人が対象で、3人が行う想定。詳細な内容や時期は検討中。