馬インフル収束の競馬場あすレース再開 迅速対応で封じ込め
馬インフルエンザ発生を受け、3週連続でレースが中止となったばんえい十勝。今回の馬インフル禍は、約700頭を飼養する競馬場内で感染力の強い伝染病が発生すると、集団感染を防ぐのは難しいことを浮き彫りにした。再発防止に向け、ウイルスを侵入させない防疫体制強化が求められる。一方、競馬場外での発生は限定的で、主催する帯広市や競馬関係者の迅速な対応で封じ込めに成功したとみられる。レースは17日に再開する。(貞野真生)
すぐに中止決断
同競馬場では4月24日に体調不良馬が複数発生。獣医師から依頼を受けた十勝家畜保健衛生所(家保)が検査したところ、2歳馬3頭が馬インフル陽性だった。市は同日中に25日の能力検査中止を即断、25日には翌日からのレース中止を発表した。
能力検査には生産者や家畜商などの畜産関係者が多く集まる。市ばんえい振興課は「遠方から来る人もいるため、拡大防止を見据えて前日の段階で中止を判断した」という。家保は「獣医師が検査依頼や情報共有などを迅速に行い、市がすぐに中止を決めたことが良かった」と評価する。
ワクチンも効果
また、競馬場では馬インフルのワクチン接種を年2回、2歳馬は厩舎(きゅうしゃ)に入る際に義務付けている。家保は「免疫の弱い2歳馬を中心に発症したが、毎年の接種により年長馬の多くは症状が軽かった。ワクチンは一定の効果があった」とする。
馬インフルを巡っては、4月8日に熊本県で国内17年ぶりとなる発生を確認、同10日には公表されていたが、帯広競馬場では体調不良馬が出た同24日まで特別な防疫措置は取っていなかった。軽種馬防疫協議会(東京)によると、熊本と北海道のウイルス型は同じで、家保は「熊本とは重種馬の往来があり、そこで十勝に持ち込まれたのだろう」と推測する。
33億円の逸失
競馬場では同24日以降、人馬の出入り制限や車両の消毒などを徹底。当面の間はこれらの対策を続けることに加え、市は防疫体制強化として新たな消毒設備の導入も検討している。
3週9日間の開催を中止したことで、逸失した馬券売り上げは約33億円(昨年同期間実績)に上る。中止に伴う追加開催などは、「年間を通じて開催があるため、簡単には判断できない」(同課)として決まっていない。