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幕別の老舗「杉野菓子店」、東京で会社経営する梁さん引き継ぐ ジャガイモ銘菓開発へ

人気メニューと店名を引き継ぐ梁社長(中央)と、店を託す杉野留美子さん(右)、人気店の再開を祝う飯田町長

 【幕別】2022年3月に創業93年で閉店した幕別町の杉野菓子店(本町122)が、6月中にも再び店を開ける。東京で20年以上、IT企業を経営する韓国人の梁泰植(ヤン・テシク)社長(55)が、新会社「TOKACHIBARON(トカチバロン)」を立ち上げ、事業承継した。同店の人気メニュー「ねこの座布団」を復活させる他、ジャガイモを使った北海道銘菓の開発という梁社長の夢に挑む。(吉原慧)

 梁社長は1969年、韓国ソウル生まれ。2000年から東京に住み、現在までIT企業を経営。韓国企業の日本進出を支援してきた。仕事柄、新しいブームに詳しく、韓国の料理や音楽が日本社会でもSNS映えするものとしてブームになる様子を見てきたことから、「食材の豊富な北海道で人気商品を生み出したい」と北海道での新事業を目指し始めた。会社名のバロン(男爵)は、食材として活用予定の男爵イモから名付けた。

 北海道での事業拠点を探す中、今年3月上旬に十勝を訪問。地元の不動産会社から杉野菓子店の建物を紹介された。当初は「幕別町の本町地区に歩行者が少ない」と商売ができるか不安を抱いたが、同店の元代表の娘の杉野留美子さん(55)から「創業100年を目指したかった」という元代表の思いや、地域に愛された生菓子「ねこの座布団」の説明を聞き、「思いに応えたい」と事業承継でスタートすることを決めた。

 留美子さんも閉店後から道事業承継・引き継ぎ支援センターに相談するなどして店の存続を模索してきた。梁社長が引き受け手として現れ、「元代表は仕事中に倒れて入院してから、ずっと店と商品の心配を口にしていた。今回の事業承継を伝えたら笑顔を見せてくれた」と安堵(あんど)した様子。

 12日、同店で韓国式の引っ越しパーティーが行われ、留美子さんと引き継ぎ支援センターの職員、飯田晴義町長ら関係者や地域住民ら総勢30人ほどが出席。飯田町長が「事業承継によって住民から愛された店と菓子が復活することがとてもうれしい。町の食材を使って新たな名産も作ってほしい」とエールを送った後、チヂミなどの韓国料理を囲んで懇談した。

 梁社長は今後、町の空き施設改修の取り組みを活用しながら、キッチンなどを改修し、6月中のオープンを目指す。自身に料理人としての経験はないため、十勝在住のパティシエを雇用して事業を進める計画で、「地域に愛された店と菓子で創業100年を迎える。新事業では、ジャガイモなど地元の食材を使った全道・全国的な銘菓を作り、観光客を呼び込んでまちのにぎわいを生みたい」と語っている。

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