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そば屋の秦食堂 後継者前提に協力隊の研修受け入れ 町と協定締結

事業承継を目的とした地域おこし協力隊研修受け入れの協定を締結した(左から)本田町長と秦食堂の秦店主

 【陸別】陸別町は1月31日、町内のそば店「秦食堂」店主の秦秀二さん(57)と、事業承継を目的とした地域おこし協力隊(事業承継推進員)の研修の受け入れに関する協定書を締結した。同協力隊員は最長3年間、秦食堂で働いた後に事業を引き継ぐ。本田学町長は「人口減少が進む中、地域を維持するには、飲食業を含む産業の後継者が必要。今回がモデルケースになれば」と話している。(北雅貴、津田久美通信員)

 町では2012年度から地域おこし協力隊事業を実施し、これまでに13人が着任。うち5人が定住し、現在は20年2月から活動している商工観光推進員の1人となっている。

 事業承継の目的では初めてで、他市町村でも珍しいという。

 今回の事業承継推進事業は、秦食堂の事業を引き継ぐための研修活動やサポート業務など。採用決定後に、陸別町に住民票を移して居住できる1人を募集する。

 秦食堂は1947年に創業。自家製粉のそば粉100%の手打ちそばで、祖父から父、秀二さんと親子3代に渡り、「陸別町のおそば屋さん」として町内外からファンが訪れる人気店だった。

 秀二さんと共に店を切り盛りしていた父は2020年12月に、母は翌21年2月に相次いで他界。後継者がいなく、従業員の人手不足もあり、昨年7月から休業を余儀なくされていた。

 町は「そばを目的に町外から陸別町を訪れる人も多く、休業は町の入り込み数に影響している」(本田町長)と憂慮していた。地域住民にとっても、飲食店が減少する中、食事の選択肢が狭まられていた。昨秋から、事業の今後の継続について町と同食堂が協議を重ねていた。

 締結式は町役場で行われ、本田町長と秦さんが協定書に調印した。「地域おこし協力隊」として地域住民と共に地域復興の支援活動に意欲のある人材を募集する。

 店舗を新築した02年から店主を務める秦さんは「皆さんから、おいしいと言ってもらい守ってきた味を残したい。引き継いでくれる人が来てもらえれば」と期待している。

 地域おこし協力隊についての問い合わせは、町総務課企画財政室(0156・27・2141)へ。

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