十勝バス3月末まで部分運休 運転手不足で
慢性的な運転手不足により、十勝バス(帯広、野村文吾社長)は8日から一部路線バスで平日19便を3月末まで運休することを決めた。十勝管内の路線バスで、新型コロナ以外での運転手不足を要因とする運休は初めて。バス業界の運転手不足は以前から課題となっており、人材確保が困難な状況が続くと路線バスの縮小につながりかねない深刻な状況に陥っている。
同社によると、運転手の人数は全社で132人で、うち123人が路線バスに従事。定数に対して17人不足している。
運転手が不足する中、これまで人員をやり繰りしながら路線バスを運行してきたが、その状況が長期化し、対応策に限界がきていること、運行の安全確保や運転手の健康・生活面の観点から平常時のダイヤ維持が困難と判断し、平日の一部の便を運休することを決めた。
長沢敏彦取締役執行役員事業本部長は「運転手の高齢化、新しい運転手が入ってこない中、労働時間も長くなり、このままでは安全面に支障が出ると判断した。通勤通学に影響が出ない範囲で運休させていただく」と説明。4月以降については「現状では、同じやり方を続けるのは困難な状況。次のダイヤ改正で減便を検討しなければならない」と話し、便数の縮小も視野に路線バスの在り方を模索中だ。
拓殖バスも「厳しい状況」
管内で路線バスを運行する北海道拓殖バス(音更町)は「厳しい状況にあるのは間違いない。潤沢に乗務員がいるわけではない」とする。
現在、スクールバスを含む路線バスの運転手は79人。この1~2年は70人台で推移しており、コロナ禍でも何とか運休を回避してきた。「路線バスは地域住民の足なので、何とか影響が出ないようやり繰りしている」という。
乗務員の募集は常時行っており、1カ月に1人程度の応募があり、中には道外から「十勝で働きたい」と飛び込んでくる経験者もいるという。乗務員確保のため大型免許取得支援や、負荷がかからないシフトを組むなど、労働環境の整備にも力を入れる。担当者は「どの業界も人手不足。今いる乗務員が意識を持って対応してくれているおかげで生活路線が維持できている。今後も乗務員確保に努めたい」と話している。
道内では、ジェイ・アール北海道バスが今月1日から札幌圏での路線バスの一部を運休。バス業界の運転手不足は十勝管内にとどまらず、深刻さが増している。(完戸雅美)