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北の屋台、ひとあし早く卒業 2店変わらぬにぎわい

店主の上村夫妻

 来春で第8期の営業期間が終了する帯広市中心部の「北の屋台」で、アイヌ家庭料理「ポンチセ」と居酒屋「パオズ」が一足早く独立し、市内の新店舗で営業を開始した。両店とも地元の常連客が訪れ、屋台時代と変わらぬにぎわいを見せている。(月森七海)

名店跡地で「地元密着で」 居酒屋「パオズ」
 「パオズ」は10月、西1南10のローヤルプラザビル1階(旧喫茶アドリア跡)に移転した。店主の上村岳史さん(53)、友紀さん(53)夫妻は「腰を据えて、地元密着の店づくりを進めたい」と意欲を新たにしている。

 アドリアは一昨年、40年近い歴史に幕を下ろした老舗。「名店にあやかり、長く営業したい」と岳史さん。内装はほぼそのままに、棚を友紀さんの好きな緑に塗り替えた。対面での接客を念頭にアドリア時代のカウンターを延長、座席数を増やす一方でテーブルも3卓設け、30人が入れるようにした。友紀さんは「(狭い)屋台では入店できないお客さんも多かった。ゆっくり過ごせる、居心地の良い空間にしていきたい」と話す。

 移転前と変わらず、音更産ニンニクを包んだシューマイ(4個、700円)や特製ギョーザ(同)、「正油チャーハン」(900円)など定番の中華メニューが人気。ハンターの岳史さんが仕留めたエゾシカを使い、ジビエ料理も提供する予定だ。午後5時半~翌午前0時。不定休。急な休業はインスタグラムで。



店主の豊川さん(中央右)、トンコリを指導した辺泥さん(中央左)と参加者

文化発信イベントも アイヌ料理「ポンチセ」
 「ポンチセ」は西3南10(旧笑福跡)で開業。11月23日には移転を記念してアイヌ文化に親しむイベントを開催、来店客は伝統楽器の演奏や刺しゅうの体験を楽しんだ。

 新店舗ではアイヌ料理を提供するだけではなく、音楽などを通じてアイヌ文化を発信する考え。この日は第1弾イベントとして「ムックリ」「トンコリ」の演奏指導などを行った。

 トンコリは樺太アイヌの伝統的な弦楽器。5本の弦を同時に鳴らしたり、こするように触れたりして心地良い音を生み出す。幕別町から来店した山口順子さん(63)は「優しい音色と素朴な響きに引かれた。本格的に練習を始めたい」と話していた。

 指導したのは釧路市を拠点にトンコリ製作と演奏を手掛ける辺泥(ペテ)敏弘さん(50)。同店でライブイベントを定期的に開く予定だ。店内には2本のトンコリが置いてあり、自由に演奏を体験できる。

 通常営業も開始しており、店主の豊川順子さんは「屋台独特の雰囲気がなくなり少し寂しいが、これからも人と人とがつながる場所にしたい」と話している。

 新たに始めたランチ営業は火-金(午前11時~午後2時)、ディナー営業は火-土(午後5時~同10時)。屋台で人気だった骨付き豚のスープ「ポネオハウ」なども変わらず提供する。

関連写真

  • アイヌの伝統楽器「トンコリ」の演奏を体験する参加者

    アイヌの伝統楽器「トンコリ」の演奏を体験する参加者

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