十勝バスが卸売市場買受人登録 物販事業に乗り出す
十勝バス(帯広市、野村文吾社長)は、帯広地方卸売市場と買受人契約を交わし、今年から物販事業に本格参入する。当面は、市内の大空地区で運営するにぎわいターミナル(NT)で、地域住民からの電話予約注文で販売。マルシェバスや実店舗での運営も視野に入れ、本格的な事業展開を目指している。
仕入れから販売 実店舗の運営も
同社は国土交通省の「共創モデル実証プロジェクト」で町内会や企業などと連携し、暮らしやすいまちづくりに向けたサービスの在り方を検討するNTを運営。中では、十勝産野菜の販売を行っているが、スーパーがない同地区での買い物の利便性を高めようと、卸売市場の買受人になることで、仕入れから販売までを行う物販事業に乗り出す。
物販事業への参入に当たっては卸売市場で勤務経験のあるプロをアドバイザーとして迎え、目利きが選んだ本格食材や食品約30品をNTで販売。NT内のスペースやロスを出さないようにするため、電話予約で注文を受け、午前中の注文分は午後、午後からの注文は翌日にNTで引き渡す仕組み。チラシに掲載のない商品も、要望があれば臨機応変に対応する。近く、地域住民にチラシを配布して周知し、10日から予約を受け付ける予定だ。
NTでの試験販売を通して実績を積み、来年度、運行再開を目指すマルシェバスで卸売市場から仕入れた商品の販売を目指すとともに、ミニスーパーの実店舗販売についても検討を進めることとしている。また、市外の営業所を拠点とした販売も模索することとしている。
同社は「バス事業での収益が厳しい中、物販事業を経営の柱の一つに位置付け、複数の事業を掛け合わせることで『運ぶ』だけではない活用方法を模索していきたい」と話している。(完戸雅美)