東京五輪にスタッフとして参加の後藤さん リオに続き2度目
後藤カイロプラクティックオフィス(帯広市西3南23)の後藤雅博院長(58)が、東京五輪とパラリンピックにスタッフとして参加する。カイロプラクターとしての長年の知識と経験を生かし、理学療法士と協力しながらチーム医療に携わり、アスリートを側面から支える。後藤さんが五輪に関わるのは前回リオデジャネイロに続き2度目。コロナ禍での開催で、東京五輪・パラリンピック組織委員会の要請に対し、感染予防に細心の注意を払いながらも「少しでも選手の支えになれるのなら」と受諾した。15日に現地入りする。
後藤院長は帯広市出身。帯柏葉高、北大医学部付属診療放射線技師学校を卒業後に渡米した。ニューヨーク州立大、カイロプラクティック発祥のパーマーカイロプラクティック大を卒業し、博士号を取得。帰国後は1991年から現在のオフィスで勤務し、2004年から院長を務める。
16年のリオ五輪には、医療スタッフ選考に応募し、カイロプラクター7人のうちの1人に選ばれた。アジアでは後藤院長のみ。約150人に施術、右足を痛そうにしていたペルー代表選手に関わり、男子5000メートル決勝進出と同国新記録樹立の一助になった。
米国発祥のカイロプラクティックは、手技療法で神経機能の正常化を図る。世界的に認知されているが、日本は国家資格制度がなく自称での開業も自由。日本オリンピック委員会(JOC)は、医療スタッフとしてカイロプラクターを採用していない。このため、東京五輪・パラリンピックでは直接的な医療行為はできず、医療スタッフとしても名乗れないという。
今回は応募していなかったが、5月上旬に組織委から連絡があり要請を受けた。リオの際に応募したのは東京五輪に携わるための実績づくり。「希望の関わり方とは違うが一応の願いはかなった」。ただ、コロナ禍での開催に「参加に迷った。複雑な気持ちはある」と心が揺れ動いた。
選手村などの感染予防対策を聞き、悩んだ末に決断。「行くからには喜んで協力したい」と力を込める。6月下旬からオンライン上で五輪についてのさまざまな医療関連の研修を受け、日曜日には8時間ほど机に向かった。2度のワクチン接種も終わっている。
15日から29日までと、初となるパラリンピックは8月23日から9月4日まで現地に滞在する。「情報を他のスタッフと共有し、選手のコンディショニングづくりに役立ちたい」と張り切っている。(北雅貴)