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帯広市が8月延期の成人式中止 新型コロナで

 帯広市は10日、8月に延期していた成人式「帯広市成人の集い」を中止すると発表した。新型コロナウイルスの収束が見通せないことが理由。同じく夏以降に延期している十勝管内の4町は、現時点で予定通り実施する方向。

代替でメッセージ動画公開
 帯広市の成人式は1月に開催予定だったが、新型コロナの感染拡大を受け、多くの人が帰省する8月中旬ごろに延期していた。しかし、収束の兆しが見えない中、さまざまな地域から会場に集まる感染リスクを考慮し、式典の開催は難しいと判断した。再延期もないとしている。

 代わりに、8月中に市のホームページに特設ページを開設する。市内在住の新成人から男女各1人を募り、抱負や感謝の言葉を伝える動画を市職員が撮影し公開する。ほかに、中学校の恩師からのメッセージなどを検討しているという。

 市生涯学習文化課の藤原理恵子課長は「一生に一度のセレモニーだけに、式典中止は苦渋の決断。せめて記念になるものを残してほしい」と話す。市によると、昨年の成人式は1142人(うち市外在住者は269人)が出席した。

 十勝管内の今年の成人式は、14町村が1月に実施済み。音更、芽室、清水の3町は8月14日、幕別町は9月19日に予定している。(高田晃太郎)

呉服店では予約した振り袖に関する問い合わせ電話が鳴りやまず、対応に追われた(11日、soie京屋で)

呉服店対応追われる
 新型コロナウイルス収束の見通しが立たない中、帯広市の成人式の中止が発表された。「すごく残念」「友人に会いたい」。新成人や呉服店などからは、悲痛の声や収束を願う声が上がった。(高田晃太郎、本田龍之介)

 「祖母に振り袖姿を見せる機会がなくなり、すごくショック」。帯広高等看護学院に通う辻ゆめこさん(21)は式典中止に肩を落とした。祖母と母が成人式のために買ってくれた振り袖。前撮りは済ませたが、祖母には当日初めて披露するつもりだった。「せめて振り袖を着て友人と出掛けたいが、十勝にいない人も多いので、全員が日程を合わせるのは難しそう」

 一方、緊急事態宣言下で看護実習が中止となっていることから、「実習ができないまま看護師になるのは不安。これ以上感染を広げないために中止は仕方ないとも思う」と複雑な思いをのぞかせた。

 市内の専門学校生の長崎凌馬さん(20)は、高校の同級生との再会を心待ちにしていた。「向こうは社会人で、なかなか会える機会がないだけに悲しい。早く収束してほしい」

 晴れやかな式を待ち望んでいたのは、新成人だけではない。

 京屋呉服店(帯広)の宮本征和社長は「ワクチン接種が進む中、来年1月に延期するなどの選択もあったのでは」と疑問を投げ掛ける。予約客からは、式典が中止でも振り袖を着て家族で祝いたいという声がある一方、「返金などを含めた対応をすべく、今週末までにお客さまに連絡する」と対応に追われている。

 着付けやメーク、髪のセットなどを手掛けるカトレア美容室(帯広)を経営する阿部美千子さんは「一生に一度の晴れの舞台に向け、私たちも帯や着物がぼろぼろになるまで着付けの練習を重ねてきた。本番がなくなったことはすごく残念」。すでに5月時点で式の参加を諦め、撮影だけ済ませに来た新成人もいたといい、「行きたいのに行けないというのは本当にかわいそう」と思いやった。


◆令和3年帯広市成人の集いの式典中止及び代替事業の実施について
成人の集いの式典中止に関する情報-帯広市公式ホームページ

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