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伐採後に植樹計画 構内整備「動物に配慮」 畜大側

2017年に見直したキャンパスマスタープランに示されたプロムナードのイメージ図(手前が正門、奥が総合研究棟1号館)

 帯広畜産大学(奥田潔学長)構内で樹木の伐採が予定されている件で、同大は正門付近に「キャンパスプロムナード」を計画、約60~70本の樹木を伐採し、動物の生態系への配慮をしつつ新たに植樹を行うとしている。一方、伐採を問題視する卒業生らでつくる「畜大の杜(もり)を考える会」は25日午後、話し合いを求める要望書を大学側に提出した。

 同大によると、今回の整備は2006年策定の「キャンパスマスタープラン」に基づく。30年後を見据えた環境整備とし、正門から総合研究棟1号館までの間を市民も憩えるプロムナード(大学の出入り口)として、一方通行の歩車分離型道路や並木づくりなどを計画。ほかに、キャンパス東側に約500メートルの「グリーンコリドー(遊歩道)」を造る予定だ。

 木の伐採を含むこの整備事業はインフラ整備と併せて19年度補正予算に盛り込まれ、国から約3億円の予算が決まった。大学側は今年4月から学内で審議を進め、7月に全教職員に内容を通知。10月上旬から工事を始め、今年度中に整備を終える計画という。

 伐採について同大施設課は、正門付近の森は植栽から約40年が経過しているとし、「老木などもあって転換期を迎えている。伐採して新たな樹木を植え、持続的な緑の環境整備を行っていく」とする。

 一方、森にはエゾリスやモモンガが生息。動物の生態系についてアドバイスを行う柳川久副学長(野生動物管理学)は「人が植えた木は人の手で整備するのが基本で、動物への配慮も必要」とし、伐採は最低限の本数に絞り、動物への巣箱を設けるといった対策を考えている。

 卒業生らから反対の声が出ていることについて、同大は事業は適正な手続きを踏んでいるとし、「教員から出た意見には回答し、理解を得ているという認識でいる」としている。

延期と議論求め要望書卒業生ら
 畜大の杜(もり)を考える会(草薙司、佐藤尚道共同代表)は25日午後、帯広畜産大学の奥田学長宛てに樹木の保全を求める要望書を提出した。同会には26日午前の時点でフェイスブックのグループに、卒業生を中心に400人近くの賛同者が集まっているという。

 同会は正門付近の森は動物が多数生息し、市民にも貴重な憩いの場であるとの理由から、(1)十分な論議を尽くすまで伐採の延期(2)研究者や市民を交えた公開の検討委員会の設置-を要望している。

 両共同代表が同大を訪れ、総務課に提出した。2人は「動物や樹木への環境調査が入らずに計画を決めたと(関係者から)聞いている。老朽した木を切るのは仕方ないと思うが、今回の計画は管理が大変だから整備するという印象しか持てない。ちゃんと議論し、正当かを検討するプロセスが欲しい」と話した。

 卒業生や在校生、退職教員らが参加する同会のフェイスブックには「危ない木もあるかもしれないが、それも含めて構内の景観、自然環境を残そうとするのが畜大のあるべき姿」などの意見が書き込まれている。(松田亜弓)

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