清涼感漂う真鍋庭園の西洋シロヤナギトリスティス
まるで日傘のモンスター!?-。
観光庭園として知られる帯広市内の真鍋庭園(稲田町東2線6、眞鍋憲太郎代表)の園内にそびえ立つ巨木「西洋シロヤナギトリスティス」。「カサカサーッ、カサカサーッ」と、長い枝が風に揺れるたびに風情ある清涼感が漂う。
「トリスティス」はラテン語で、「悲しい」「うなだれる」などの様子を表す。同園管理責任者の加藤弘規さんによると、西洋シロヤナギトリスティスは今から約50年前、同庭園が欧州から3本を輸入し、現在2本が残っている。高さは当時3メートルほどだったが、約20メートルまで伸び、樹齢約60年となった今も成長が続いている。
枝は長く垂れ下がり、レースのカーテンのように揺れ、来場者を強い日差しから守るように包み込む。加藤さんは「西洋では、牧場で牛や馬の木陰としてシロヤナギトリスティスの木が植えられている」という。
同園のユニークな発想で、2本のうち1本には地上5.5メートルの高さにツリーデッキを設け、来園者の興味を誘っている。デッキは10年ほど前、野外活動が好きな社員が発案。当時は「はしごと板を設置しただけの遊び心で造った“秘密基地”のようなものだった。観光客向けではなかったが、評判は良かった」と加藤さん。以来、毎年の調整と木の成長に合わせ3、4年に1度、4月のオープンに合わせ、整備している。
岡山県倉敷市から訪れた山本和久さん(60)と和恵さん(58)夫妻は「倉敷美観地区はヤナギ(並木)が有名だが、こんなに大きな木は見たことがない」と驚いたような表情で、涼しげな枝と巨木を見上げていた。(写真・文 金野和彦)