清水 「とかち野酵母」の木に看板
【清水】日本甜菜製糖は同社清水バイオ工場で製造するドライイースト「とかち野酵母」の発売10年を記念し、酵母のもとを採取した清水公園内のエゾヤマザクラの木に案内看板を設置した。
とかち野酵母は、農産物の高付加価値化に向けた産官学連携事業として2005年に開発がスタート。帯広畜産大学の小田有二教授(現同社シニアアドバイザー)と道農業研究センターの山内宏昭チーム長(現同大教授)を中心に、十勝管内各地のさまざまな花や果実から野生酵母を採取。07年、同公園内のエゾヤマザクラのサクランボから、膨らみや香りが良い製パンに適した酵母菌株を取り出すことに成功した。
戦後間もない1949年から同工場でイースト菌を製造する同社が商品化の打診を受け、酵母の培養や乾燥化を検討。10年6月に発売した。工場規模でドライイーストを製造するのは国内で同工場のみ。
同社では以前から、工場を視察に訪れる関係者を案内する際、発祥となった木も紹介したいと考えていたという。昨年秋に山内氏がサクランボを採取した木を特定、節目を機に看板を設置することとした。公園の市街地寄りの駐車場から階段を上り、左手の坂の途中にある。
4月28日に同社や町役場の関係者数人にお披露目された。同工場の北嶋清人工場長は「酵母開発の原点である『地元のパンは地元の食材で』という思いが実現していることへの感謝と、観光の一助になればとの思いで設置した」と説明。阿部一男町長は「ここに原木があったことに驚き、うれしく感じている」と話した。
同公園のサクラは大型連休中に見ごろを迎える見通しだが、同社では「今は外出自粛を厳守し、新型コロナウイルスが収束した後に見に来て」としている。同酵母は公園内のカフェダイニング・サルビアでも販売している。(丹羽恭太)