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はやぶさの技術応用しスマート照明スイッチ JAXAの川口氏が開発

スマート照明スイッチを手にする川口教授

 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の川口淳一郎シニアフェローは、総責任者を務めた小惑星探査機「はやぶさ」の電力消費を抑える技術を応用し、家庭や事業所でも利用できる制御システムを開発した。設定したレベル以上の供給を遮断し、主幹ブレーカーを落とさないなど、電力のマネジメントを家庭でも可能にする仕組みを整えた。

 「エネルギーマネジメント事業」は「エネルギー」と「パワー」の二つに大別。前者は省エネで石油や天然ガスなどの消費量を減らすことを示し、後者は発電所や通配電など設備のスリム化を指す。

 宇宙機で停電が許されないため、はやぶさではパワーマネジメントを実践。独立分散制御という方法で、同報型(ブロードキャスト)の通信だけが行われる。

 情報をやりとりするコンピューターが何百から何万個になっても、制御するスピードが落ちないのが特徴。川口氏は「出先の個体数が多くなると、メリットが大きくなる」とする。

ピーク電力を常に一定量に
 この仕組みを応用して開発したものが二つある。一つは「スマートブレーカー」。高圧一括受電マンションなどが対象で、常にピーク電力を一定量に抑えることができる。集合住宅管理の家々にスマートブレーカーコンセントを入れると、全体でピークカットが可能になる。

 試算によると家庭向けの場合、10アンペア下げて月300円ほど。ビル全体(事業所電力)の場合は1キロワット下げると、1戸単位で千数百円ほど割安になる。

 初期投資はやや高額。川口氏は「管理会社の手数料次第だが、高層ビル一括で導入すると、既存装置と比べ4年ほどで元が取れる」と語る。

不必要な照明自動的に消灯
 もう一つは「スマート照明スイッチ」。例えば大きなオフィスでたくさんの照明があり、省エネで半分を消す場合、いつも同じ照明を消すのではなく、使っていないパソコンの上部の照明など「仕事のないところから」順番に、自動で消灯してくれるスイッチのことだ。これに交換するだけでビル内をIoT(モノのインターネット)化でき、外出先から消灯などリモートコントロールができる。

橋本総業主催展示会で紹介
 スマートブレーカーは、河村電器産業(愛知県)と川口氏が代表社員を務める合同会社パッチドコニックスが開発し、すでに製品化した。帯広市に道東支店を置く橋本総業(橋本政昭社長)が都内で開催した展示会「みらい市」でも紹介された。照明スイッチは小型化とともに実証実験を予定している。

 川口氏は「外からの操作や感度の調整など、使うことで性能が確認できる」とし、実験次第で早ければ年度内の製品化を目指している。(植木康則)

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