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インフラ再考~第1部 これでいいのか道路編(2)「事故がそぐ道の力」

道東道のラバーポールで区切られている区間。安全性向上のためにも、4車線化の実現が求められている(新井拓海撮影)

安全へ4車線化急務
 「高速道路(道東道)は一般道以上に気を付けて運転をする必要がある」

 十勝機動警察隊の赤岡義幸副隊長は、こう強調する。道東道は一部の付加車線を除き、対面通行が続く「暫定2車線」(片側1車線)。音更帯広-本別、夕張-占冠の計12.4キロは鋼製のワイヤロープで車線を分離しているが、ほとんどの区間は分離帯にゴム製のラバーポールしか配置していない。

 赤岡副隊長は「居眠りによる単独事故も他の通行車両が絡めば重大事故につながる」と注意を促す。

全国ワースト
 ひとたび事故が発生すると、上下線とも通行止めになるケースが多い。帰省客などで混雑した昨年の12月29日、占冠-トマム間は事故のため3度も通行止めになり、通行止めの時間は計6時間にも及んだ。

 2016年度の国交省の調査によると、占冠-トマム間(札幌方向)の事故による通行止めは合計50時間で、全国の高速道路では「ワーストワン」。事故原因の通行止めが多い上位30区間に、道東道の9区間がランクインした。

 道東道はトンネルの多さでも知られる。夕張-占冠間には実に8本のトンネルが連続、3キロ以上の長大トンネルが3本も含まれている。常に事故と隣り合わせといってよい。

 十勝機動警察隊と道警高速隊によると、18年の道東道(千歳恵庭-阿寒、本別-足寄間を含む)の事故件数は12月中旬までで物損382件、人身8件。鹿追町の親子3人が犠牲になった、穂別トンネル内の死亡交通事故(昨年1月)は記憶に新しい。

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「今、声上げねば」
 十勝圏域ではいま、道東道の「4車線化の早期実現」が喫緊の行政テーマになっている。安全性の問題だけではない。4車線(片側2車線)の場合、事故・災害等の理由で一部車線の通行が不能になっても、残りの車線で通行ルートを確保できる。

 道横断自動車道早期建設促進期成会の米沢則寿会長(帯広市長)は「現行の暫定2車線では災害時における脆弱(ぜいじゃく)性が課題になる。4車線化による道路の強靱(きょうじん)化は必要」と訴える。

 医療界の要望も強い。昨年11月、帯広厚生病院が新築移転、ベッド数は651床となり、道内5指に入る拠点病院となった。釧路、北見、日高から患者が流入することが想定されている。

 帯広商工会議所・医療福祉部会長の森光弘氏(光寿会理事長)は、「道東道は山間を走る道路で自然災害のリスクも高い。医薬品などを安定して運ぶためにも強い道路が必要」と語る。

 国は暫定2車線の課題を抽出し、優先度の高い区間から4車線化を実施する方針。石井啓一国土交通大臣は昨年11月、高速道路整備に関する財政融資を財務省に要求すると表明、暫定2車線のうち100キロほどの区間が4車線化される見通しとなっている。

 帯広商工会議所地域開発委員会では「今、声を上げなければ、4車線化は実現しない」との意見も。地域に必要なインフラとしてアピールする「一押し」が求められそうだ。(中島佑斗、細谷敦生)


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