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トキソプラズマ研究を評価 帯畜大の加藤准教授が獣医学会賞

日本獣医学会賞を受賞した加藤准教授

 帯広畜産大原虫病研究センターの加藤健太郎准教授(43)は、2017~18年度の日本獣医学会賞を受賞した。感染症「トキソプラズマ」の発現メカニズム解析を通し、感染を抑える薬開発などの研究成果が評価された。

 日本獣医学会の正会員で、獣医学領域で顕著な研究業績を挙げた50歳以下の研究者に贈られる賞。今回は2人が選ばれ、9月に鹿児島県で開かれた日本獣医学会学術集会で表彰された。

 加藤氏は、トキソプラズマを引き起こす原虫がヒトの細胞に侵入する際、ヒト細胞側のレセプター(受容体=細胞外の物質や光を受容する物質の総称)の種類を明らかにした。受容体は糖鎖(糖が結合した化合物)の一種で、この糖鎖の中に抗原虫作用があることを、ブタの感染実験で確認した。

 また、原虫内の酵素「原虫プロテインキナーゼ」(PK)が、宿主細胞への侵入や増殖など複雑な原虫ライフサイクルで重要な役割を果たしていると解析。PKをターゲットにした薬が原虫の運動を制御し、感染しにくくなることを突き止めた。さらに、原虫の急激な増殖と、回避行動としてヒト体内で休眠する「潜伏感染」誘導の両者を抑制する薬開発にも成功した。

 加藤氏は「獣医師として獣医学会賞は1つの目標で、受賞はうれしい。今後も学会に貢献できるよう研究に取り組みたい」と話した。(池谷智仁)

<トキソプラズマ症>
 猫のふん便や感染動物の食肉に含まれるトキソプラズマ原虫の経口摂取で起きる人獣共通感染症。健常者が感染しても重篤化しないが、妊娠中に初感染すると脳症など胎児への先天性感染症を引き起こす。エイズなど免疫が低下している人は死亡する場合もある。世界で約3割が感染していると推定されている。

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