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台風10号 被災証言1冊に 清水の高橋さん自費出版

台風10号災害の記録を自費出版した高橋さん

 【清水】台風10号災害の発生から31日で1年が経過するのを前に、町内の会社員高橋正光さん(46)が、町民から被災当時の状況や避難生活での苦労などを聞き取ってまとめた冊子「8.31水害のときなにが起こったのか~十勝清水町での聞き取りをまとめて~」を自費出版した。高橋さんは「災害を後世に伝え、被害を防ぐための参考になれば」と話している。

 高橋さんは東京都出身で、法政大社会学部卒業。13年前に清水町へ移住してきた。幼少時代には、民家19戸が流出した多摩川水害(1974年)も経験している。

 今回の聞き取りでは、81年に発生した清水町の水害についても複数人から話が出たが、詳細を覚えている人はいなかった。記録を残すことで「身近に起こった災害を風化させず、次の『忘れたころ』に生かせるように」と、知人ら22人から得た証言を書き起こした。台風10号災害前後の自らの日記も合わせて公開した。

 冊子によると、氾濫したペケレベツ川は木が生い茂り、当日木が倒れて初めて「ここに川があるのか。森林だと思っていた」という住民もいた。また、家の近くまであふれた川が迫り、慌ててハザードマップを見たが、水害に対応しておらず「どういう動きをしていいか分からない。幼い子どもがいるので避難所に行っても迷惑が掛かるのでは」といった混乱もあった。

 また、被災後は「泥が入った家に、長時間片付けのためにいたらぜんそくになった」などという証言も。「1年間、水道が復旧しない」というデマも流れ、正確な情報把握や水の確保にも苦労した。洪水予報をしていない小林川の問題点を指摘する住民もいた。

 B5判66ページで、町役場や証言を寄せた住民らに配布した。希望者には、PDFファイルなどでメール添付して送付することもできる。問い合わせは高橋さん(0156・67・7005)へ。メールはStraydog216@nifty.com(小寺泰介)


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