骨通し動物の魅力発信 骨格標本や剥製作製 畜大えぞほね団
帯広畜産大学のサークル「畜大えぞほね団」(木内建団長、団員35人)は、動物の骨格標本や剥製作りに取り組んでいる。骨格から体の構造を理解し学業に役立てるほか、イベントなどで標本を展示。「骨は力強く、進化を積み重ねてきた美しさがある」(木内団長)と、独自の視点から動物の魅力を伝えている。
同サークルは標本作りが趣味の学生が集まり、2013年に設立。許可を得た動物の死骸を持ち込み、状態に応じて標本か剥製にする。所有品はシカやエゾリス、ばん馬、カラスなど約30体。動物園と協力し、クジラやトラ、カバ、キリンなどの標本作りにも参加している。
標本作りでは、大人6人程度が入る大きな鍋のような機械を使用。1、2日ほど煮込んで肉を取り、骨だけにする。骨は洗い、乾燥させる。腐敗防止のため乾燥は重要で、2、3カ月かけることもある。
苦労もある。油が多いクジラなどは煮込むと、きつい臭いを放つ。一方で、豚は食欲をそそる香りがする。現在は、今月1日に豊頃町の海岸に打ち上げられた体長約7・5メートルのシャチの標本を製作中で、学内の活動場所には独特のにおいが漂っている。
「動物によって骨の形は違うが、特徴が同じ部分があり、進化の過程が分かる」と木内団長(20)=畜産学部共同獣医学課程3年。ほ乳類の首の骨は7個、足の骨は太さや長さが異なっても基本的に形は同じなど、自分の目で確かめて理解を深める。骨の構造から筋肉の付き方が分かるほか、骨折箇所があれば、どんな生きざまだったのか思いをはせる。
多くの人に魅力を発信するため、イベント参加や小学校への出前授業も実施。標本を動物の形に並べ、ばん馬の骨を使ったパズルなどを企画する。
サークル設立の呼び掛け人で、同大大学院修士課程2年の鈴木あすみさん(23)は「生命の神秘を感じる骨を通し、生き物は面白いと感じてほしい」と願う。(池谷智仁)