宮本商産ビル、士幌線アーチ橋 登録有形文化財に
国の文化審議会は10日、国の登録有形文化財(建造物)に全国226件を登録するよう、文部科学大臣に答申した。道内は、宮本商産旧本社ビル(帯広)と、糠平川橋梁(きょうりょう)など旧国鉄士幌線関連建造物(上士幌)3件の計4件。同文化財登録は帯広市内で2件目、旧国鉄士幌線関連は既に登録されている6件を合わせ計9件となる。
「赤れんが」の愛称で親しまれる宮本商産旧本社ビル(市西2南5)は木造2階建てで、1919年に完成。外壁にレンガタイルを貼り、破風(はふ)や三角形の装飾を施すなど重厚な趣を見せ、戦前の帯広の繁栄を伝える良質な建築と評価された。宮本商産(平征浩社長)の山口良治常務は「歴史がある会社のシンボルで、登録は非常にうれしい。建物にマッチした活用方法を考えていきたい」と話す。
旧国鉄士幌線関連で登録されるのは、(1)糠平川橋梁(町ぬかびら源泉郷48)(2)三の沢橋梁(同51)(3)幌加駅プラットホーム(町幌加2)-の3件。(1)は長さ74メートルのコンクリート造4連アーチ橋。(2)は長さ50メートルのコンクリート造で、左右対称の3連アーチ橋。(1)(2)共に、湖畔の自然景観と調和しているなどの価値が認められた。(3)は延長61メートルのコンクリート造の車両乗降場所。幅2・3メートル、高さ0・8メートルで、両端は勾配がある斜路となっている。往時のにぎわいを伝える鉄道遺構と評価された。(1)(2)は55年、(3)は39年に完成した。
3建造物を所有する上士幌町の竹中貢町長は「旧国鉄士幌線のアーチ橋は、林業を中心とした産業の発展に貢献してきた。町の歴史を知るための遺産として活用されていることが評価されたのは、大変うれしい」と喜ぶ。
答申された226件は今後、官報告示を経て正式に登録される。全国の登録件数は1万1263件、道内は145件となる。十勝管内は双葉幼稚園園舎を含め11件。(池谷智仁、川野遼介)
開発などで消滅が危ぶまれる近代建造物を守り、活用する制度。築50年を経過し、歴史的景観や造形に優れ、再現が容易でないことが基準となる。修理設計監理費補助や固定資産税減税などの優遇措置があり、外観を大きく変えなければ改修や改装もできる。所有者が登録を希望し、地方公共団体を通じて文化庁が候補物件を選定。文化審議会の諮問・答申を経て、登録される。