浸水責任認め賠償へ 猿別水門操作不能問題
【幕別】台風10号による大雨時、町内を流れる猿別川から支流の旧途別川への逆流を防ぐ猿別水門が一時閉まらなかった問題で、帯広開発建設部は国の責任を認め、浸水被害の拡大部分について賠償する方針を、20日に町民会館で開かれた住民説明会で示した。門閉鎖遅れによる被害拡大は全体の浸水量の4割、平均水深0・4メートル分とした。閉門遅れの原因はブレーカーが落ちていたことで、管理体制の不備を認めた。
台風10号では8月31日、猿別川西側の猿別、相川約227ヘクタールが冠水し、住宅47戸、複数の事業所が床上・床下浸水。説明会は9月27日に続く2回目で、住宅や事業所、農地が被害を受けた人や代理人の弁護士ら約84人が出席した。
帯広開建の高橋丞二次長は、水門閉め遅れによる被害拡大を認め、「皆さまにご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ない」と謝罪した。今後の補償は「国家賠償法や判例にのっとり、(個人、事業者ごとに)和解協議を行う」とし、被害拡大と因果関係が認められる損害に賠償金を払うとした。
説明会では帯開建が今回の浸水と、仮に水門が正常に閉まった場合との差のシミュレーション結果を説明。「複数の有識者の助言を得た」としたが、有識者の具体名は示さなかった。
閉門遅れの原因となった漏電ブレーカーが落ちていた理由は不明だが、5月の業者による点検前に既に切れており、点検時に「入」にしたものの元の落ちた状態に戻して終了。帯開建によるとマニュアルでは点検終了後、「入にする」でなく「元に戻す」という内容になっていた。
民間に委託している操作員(観測員)による8月の点検でも、動作確認はしていなかった。帯開建は点検業者や操作員への「技術的な指導、支援体制が不足していた」とし、業者や操作員の責任は問わない。
閉門操作について第1回説明会では認めていなかった、ブレーカーが第三者の民間の協力者によって復旧された事実も認めた。(眞尾敦)